第6話

『ねぇ聞いてよ。バスケ部の部室で、1年がタバコ吸って、退部になったんだって。』




玲蘭のいた、生徒会室にそんな噂が流れてきた。



『えー、タバコ?嫌だなぁ。最近春央中、あまり大きな事件もなく平和だったのに。しかも、1年かよ。』



『誰?誰なの?』




『たしか.....朝比奈って子。』




『嘘よ!』



玲蘭が、突然大きな声を出すから、会長、副会長をはじめ、当時の生徒会メンバーは唖然とした。



『雨宮さん。知り合いなの?』



『朝比奈くんは、そんなこじゃないはずです。

 何かの間違いじゃ...。』



『でも、目撃証言とかもあるんだって。』




玲蘭は椅子にストンと座り込んだ。




玲蘭は信じたくなかった。

この時初めて、伊織のことが好きなんだとハッキリ意識した。




しかしながら、伊織は、それからどんどん素行が悪くなって、喧嘩の噂も絶えなかった。




みんな伊織が学校に出てきても遠巻きにしていていて、どんどん伊織に関する悪い噂が一人歩きし始めた。




それでも、玲蘭は伊織と会うと必ず挨拶をした。





『おはよう。朝比奈くん。』



『おう。』





素っ気ない返事だったがちゃんと返してくれていた。





玲蘭は伊織のことを信じていた。

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