第一話 桜、入学式

第2話

「一華?準備できたの?」




母親の声が響き渡る朝。

一華は部屋で慌てて準備を進めていた。



家のチャイムが鳴り、妹の華緒里かおりがドアを開ける。



「あー!おはよう!梓お姉ちゃん!」


「おはよ。華緒ちゃん!一華支度できた?」


「うーん、それが...。」




梓はお邪魔しますと言って、一華の部屋へ。

一華はとりあえず制服だけ着たものの、

その他はなにもできていなかった。




「やっぱりね。」


「梓ちゃん。これ、どうやって塗ったらいいの?」



マスカラを持ち、プルプル震えていた一華。

梓はため息をついた。




「春休みに一緒にやったでしょう。もう、しょうがないわね。貸しなさい。」



梓は鏡の前に一華を座らせて、メイクをする。



「今日だけだよ?」


「はぁい」


「一華のほうが手先器用なんだから、練習すればできるようになるわよ、ほら、できたよ。」


「ありがとう!髪もかわいい!編み込んでくれてありがとう。」


「髪はおまけよ。ほら、もうそろそろ出発するわよ。」





新しい革靴、新しいカバンに大好きな海で買った、くまのぬいぐるみバッチをつけて、一華と梓は、家を出た。




修学旅行に行かなかった一華に、梓が、企画して二人で行った、海で買った、おそろいのくまのぬいぐるみバッチを梓もカバンにつけている。




一華の母と、梓の母はそれを2人で見守っていた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る