第6話

あっという間に教室に残ったのは俺と柚麻と、千景の3人だけになった。

一番、フォローさせてはいけない子に全て委ねてしまったことに言いしれない罪悪感と情けなさが募る。



俺を視界に映さないようにか、俯いたまま傍を通り過ぎて自分の席へ向かう柚麻に、何も言うことが出来ない。



代わりに、その場から一歩も動けない俺の前にやってきた千景は「部活、行かないの?」と声を掛けてきた。

言葉とは裏腹に、視線は「このまま逃げるとか言わないよな?ん?」とでも言いたげな冷え切った視線であるが。

普段にこやかな人間から笑みが消えると恐ろしいってこんな感じなんだろうな。



当然、俺だってこのまま何事もなかったように逃げることが是とは思わない。



「悪い。今日は行けないから、顧問に適当に誤魔化してもらえないか。」

いつもなら勉強より真面目に取り組んでいる部活を、初めてサボる決意をした。



「……貸し1つ。サボり見つからないようにしなよ。」

それだけ言って、晃は鞄を持って部活へ向かった。「晃がさっさと素直にならないからこうなったんだよ」と釘を刺すことを忘れないところもあいつらしい。

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