第5話
……完全にやらかした。
本当に失態をおかしたとき、人って身動き一つ取れなくなるのだと初めて知った。
当事者の俺はもちろん、話を振ってきたはずの友人すら引き攣った顔をして俺と柚麻を交互に見ているだけで、誰も言葉を発しようとはしない。
いや、出来ない。
「…あ、いや、その、今のは言葉の綾で…」
なんとか絞り出そうとするが、出てくるのは言い訳みたいな取り繕うことばかりで何を言っていいか一つも浮かばない。
そんな凍り切った場を動かしたのは、他でもない柚麻だった。
「……まったく、そういう話はもっと人が少ない場でしてくれない?自分や友達が話のネタにされるのは流石に聞きたくないから。」
「ほら、ゴミ捨て終わったし、さっさと解散しようよ。早く部活に行きたいんだけど。」
強張った顔と少し震えた声で、どう見ても無理しているのが丸わかりにも関わらず、なんてことないような反応をする柚麻と、それに応えるように、この場を収めるべく千景が話を合わせてくれた。
便乗してぎこちない空気から逃れるように、皆そそくさと荷物をまとめて教室から出ていく。
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