第7話

そんなこんなで、先程の「守ってあげたい女の子が好きなのか」発言に戻るわけだが。



「確かに!そういう女の子は可愛いと思うけど、でも、皆が皆そうとも限らない…だろ…」

全然上手いフォローになっていない。



「でも、晃はそういう女の子がタイプなんでしょ?」



「いや、それは、その……」

さっき言いました、うっかりとは言え、しっかり言ってましたね、俺。

そして、100%本心じゃないかと言われたら、そうとも言えないのは事実だ。



「……たしかに」

どうせ、さっきの出来事で柚麻の俺に対する評価は地に落ちてしまっただろう。



「…守ってあげたい女の子って、可愛いと思う」

そもそも、素直になれない俺のちっぽけなプライドなんかで好きな子を、他でもない柚麻を悲しませてしまうなら本末転倒ではないか。



「でも、俺にとって守ってあげたい女の子は、白藤じゃ、ないよ」

だったら、やらかしついでに、ひと想いに全部ぶちまけてしまっていいんじゃないか。



ヤケを起こしただけかもしれないけど、そう考えるたら、不思議と頭の中がクリアになってシンプルな感情だけが残ったように感じた。

きっと、今なら、言えると思う。



「それなら、……晃にとっての守りたい女の子って誰なの?」

その思いが届いたのだろうか。

ようやく、彼女が俺の方を向いてくれた。



壊れ物に触るように、そっと彼女の手を取ってみる。

まだ成長期半ばで大きいとは言えない俺の手でもギリギリ包み込めるくらい華奢な手は、俺が守りたい女の子の手だ。



「俺は、」



意を決して、彼女の瞳を見つめる。



「俺が守りたい女の子は、柚麻だよ。」



柚麻の瞳から、悲しい色が消えた。

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