第2話

鈴木柚麻と出会ったのは中学の入学式。

初めて踏み入れる教室で、黒板に記された座席に荷物を下ろした時、隣に座っていた女の子が声をかけてきた。



「初めまして、鈴木柚麻って言います。お隣同士、よろしくね!君の名前は?」



「あ、お、俺は本条晃ほんじょうあきら。…よろしく。」



「晃くんかぁ!このクラスの友達第1号さん!」

名乗った俺に返すように晃くん、と呼んでくれたときの、キラキラした笑顔が眩しくて、すごく可愛くて。

なんていうか、心臓にギュン!と何かが刺さった。俺の一目惚れにして、初恋が始まった瞬間だった。



もし、この席に座るのが俺じゃない誰かだったら、きっとこの子はそいつに声を掛けたのだろう。あの可愛い笑顔を向けられたら、きっと誰だって恋に落ちてしまう。本当に俺でよかった。神様ありがとう。



親交を深めるうちに、彼女の幼馴染である千景達とも仲良くなり、気がつけば男女で固まる時には一緒に行動することが増えていった。そのうち、お互いの呼び名も晃くんから晃へ、鈴木から柚麻へと変化する。



冗談まじりに手を繋いだ時の満更でもなさそうな反応に、もしかして柚麻も俺のこと…?と期待する気持ちがありつつ、悲しいかな、初めての恋を見事に拗らせた俺は、一歩踏み出すことが出来ず、ズルズルと友人関係を続けている現状だ。



千景はつるむようになってすぐに俺の気持ちに気付かれていて、以降事あるごとに「早く柚麻に告ったら?」とせっつかれている。

何度でも言おう、それが出来るならとっくにどうこうしていると。

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