第16話
どうみてもエンゲージリング、と呼ばれるだろうそれについて問いかけがあるのかと構えたものの、翼が放ったのは予想もしなかった言葉
私の指で控え目ながらも確かな存在を主張するシルバーを見つめながら、少し切なさを帯びたような、
ともすると自虐しているようにも聞こえる声音で翼は私ではなく自身の結婚を宣言したのだった
「……え?」
まさに青天の霹靂
翼本人とは数年の間音信不通状態だったとはいえ、翼が身を固めるような付き合いの相手がいるのであれば同級生の誰かしらが存在を知っていてもおかしくはないはず
にも関わらずそのような話を耳にした覚えはないし、同窓会という今日の場でも誰1人“広瀬翼”の結婚について触れる人はいなかった
恐らく、彼は誰にも伝えるつもりはなかったのだろう。
あくまで私が知っている5年前までの広瀬翼という人間から導き出した考えなので、推測の域は抜けないけれど
翼は何かの意図をもって、結婚を決めた存在について友人に黙っていた
そして、あえて今、翼はそれを私に告げたのだと、そう悟った
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