第15話

腰を支える腕はそのままに、翼はもう片方の手で私の髪を撫でながら毛先の方へ滑らせていく

少しだけくすぐったさを感じさせる動きは肩につくかどうかという長さのボブヘアーを通り過ぎて、私の首筋、腕を伝ってその先の手をすくった



男性にしてはすっと細く、でも私の手よりも一回りか二回り位大きな翼の手が、外の寒さで熱を失った手を包み込むように指と指をゆっくりと絡ませていく



そして彼は絡ませた指で、再会してから今まで気づいていなかったのかそれとも気づかないふりをしていただけなのか、

一切話題にすることのなかった私の左手の指に嵌まっている一際冷気を帯びたシルバーに触れた









「俺さ、半年後に結婚することにしたんだ。」

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