第14話

「つ、ばさ……?」



ああもう、ショートした思考では上手い言葉が出てこない

とにかく名前を呼ぶので精一杯



こんなに至近距離なんだから、聞こえないはずないのに

返事をすることもなく私を見つめ続ける翼の行動は、そこに秘められた意図は何を指しているというの



わからない

昔だったらわかったのかもしれない

でも、少なくとも“今の私”にはまったく想像もつけられないの



だって、ねぇ翼、私たちの間にそういうのはなかったでしょう?



私と翼の間には世間一般の愛とか恋とか、そんな俗っぽい感情が成り立ったことなんてただの一度もないじゃない

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