第17話

何でキスしたのかも、何で今それを私にだけ告げたのかもわからないけれど



「結婚することにしたんだ。会社の後輩の女の子と」



指を絡めた手は今なお離されてはいないまま、もう一度その事実を告げた翼は、

私にそれを伝えるためだけに5年ぶりの同窓会に来たのだろうと漠然と、でも絶対的な自信をもって理解した



今の私に翼の考えてることなんてわからない

つい先ほどそんな風に思ったばかりなのに、不思議なものだ



その理解には他人を納得させられるような根拠はないけれど、どうやら翼の行動の裏に潜む彼の意思を当てることへの絶対的な自信とやらは私の根底に根付いているらしい



「くるが知らない女の子と俺は結婚して、これから先の人生を死ぬまで添い遂げることにしたんだ」



女友達相手に何言ってるの……なんて笑い飛ばすべきなんだろうか

それとも、少なからず特別視している友人であったことを持ち出して拗ねる振りでもした方がいいのだろうか



予想もしない展開への戸惑いを吹っ切ることも出来ず、言葉の返し方に迷っている私に対してこの男は更に、私にとって衝撃的な一言を告げた

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