第12話

数分の沈黙を先に破ったのは翼の方だった

声に導かれるように上を見上げて、翼と目線を合わせる



「今から店の中に戻るまでのことはさ、全部酔っ払い2人の夢の中での出来事だから。」



久しく呼ばれることのなかった“来実”に驚いたうえに、全部、夢だから

なんて、わけのわからないことを口走る翼に意味を問いただそうとして口を開いたけれど



「っっん」



私が言葉を発するよりも前に、冷えて白くなった息ごと翼の唇に吸い込まれていった

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る