第7話
それからの私は翼のペースに乗せられるように、会わなかった5年間の話や懐かしい高校時代の思い出まで、
次から次へと話題の尽きない会話を交わすうちに徐々にかつての距離感を取り戻していったように思う
思う、という曖昧な表現になってしまったのは、お互いに無茶な飲み方はしないものの、会話が弾むほどに普段なら多少セーブするお酒がどんどん進んでしまったから
人並みにはアルコールに耐性があるため意識も記憶もはっきりしているし、時々こちらの席へ絡みに来る男子たちに次々とジョッキを追加されている翼に比べれば私なんて全然飲んでいないようなもの
けれど、いつもとは少しだけ異なる独特の高揚感は間違いなくアルコールがもたらしているものだから、それなりには酔っているのもまた事実である
じゃれあっている翼を横目で眺めながら、高校時代の翼もこんな風にみんなに構われる人気者だったよなぁと
少しだけ、無条件に翼の隣に立っていた昔の自分が羨ましくなった
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