第5話密室の謎解き

その日、被害者二人の簡単なお通夜を行い、遺体は大型冷蔵庫で保管した。

夜になり島民は自宅に戻り、俺達は使用人部屋に戻った。

サツキは一人でブツブツと、密室がどうだ、犯行動機が、と、一人言を言い続けていた。

俺は朝見た彼女の事を考えながら眠ってしまった。


次の日、朝食をすませるとサツキが皆に話はじめた。

「犯人を探す為、教えてほしい事があります。執事の滝口さんは夜自室で晩酌をして亡くなったようなんです。」

「あの人は毎日食堂の残り物で晩酌してたわ。皆知ってた。」

「島の人達も?。」

「皆知ってるでしょ。」

「じゃあ食堂の残り物に毒を盛れば密室殺人が可能ですね。」

「そうかも知れないけど。」

「 書斎に入って密室からどうやって犯人が逃げたか調べたいのですが。」

「来週、船が来てから無線で警察に連絡して、その後警察が到着するまで待っていれば?。」

「でも犯人は二人も殺している。三人目を殺す前に犯人を捕まえたい。」

サツキの言葉に皆黙ってしまった。

「僕が書斎を調べます。もちろん証拠を消さないように気を付ける。皆さんは僕を監視ししてください。」

サツキの監視は、手の空いた者が順番にするとこになった。

もちろん俺は除いてだ。

最初は下男の霜島が書斎でサツキの監視をし、俺が下男の仕事である庭の水撒きをすることにした。

サツキは2時間掛かっても何も見つけられなかったが、思いついた事があると言って使用人部屋に籠もってしまった。

俺は食堂のおばさんの指示で、下男の霜島と雨漏りしている場所を修理していた。

夕食後、サツキが

「書斎にある床の間の床、寄せ木細工みたいだけど、あそこの床が開いて外に出れるんじゃないかな?」

と、言い出した。

「もう一度やってみたい。誰か僕を監視してください。」

「食堂のおばさんがいいわよ。編み物をしながら監視してあげる。進藤くん、食器洗いと片付けお願い。」

俺が仕事を終えて、皆でお茶を飲んでいると、二人が戻ってきた。

「開いたよ。地下に続く抜け道があった。皆で調査しましょう。僕と進藤と下女の清水さんが抜け道に入る。残りの三人は外に出て書斎を見張って。ただし、お互いが見える程度に離れて館の周りを包囲して。誰かいたら大声を出して。」

サツキ、下女の清水、俺の順番で手袋をはめて、靴もビニールを被せてから、開いた床の間の穴に入っていった。

穴は狭く一人くぐるのが精一杯だった。

サツキがくぐり下女の清水が入ろうとすると、

「出てきた!。何だサツキくんか。」

と言う声が聞こえた。

「もう穴に入らなくていい。玄関からここに来てくれ。」

サツキが言う通り、下女の清水も俺も玄関から外にでると、書斎の壁の外にある木の間に穴があった。

サツキは木製の蓋を手にしていて、ちょっと頭や肩に土をかぶっていた。

「蓋の上に土や葉を被せて見えない様にしていたんだ。」



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