第4話遺書探し

最初は書斎からはじめた。

「殺人現場は保存する義務があります。先ず各引き出しの写真を撮っておいて、その後鍵をかけます。僕が変な動きをし無かった証人になる為に、皆さん僕を監視していて下さい。」

次は執事の滝口の部屋へ。

「執事が殺された証拠はありませんが、殺人現場として対応します。」

と言ってサツキは各引き出しの写真を撮り、皆はそれを監視していた。

その時になってやっと進藤と食堂のおばさんが戻ってきた。

「遅かったな。」

「近くに使えるコンセントがなくて、遠くのコンセントから電源を引っ張って冷蔵庫をONしたら、ブレーカーが落ちた。あちこちいじってやっと冷蔵庫を稼働できたよ。」

「進藤くんが居てくれて良かったわ。私じゃ全然解らなかった。」

「じゃあ、二人のペアをつくって遺言状探しをします。二階の北側から始めましょう。」

館の全ての部屋を探したが、遺言状は見つからなかった。

「では、食堂のおばさん、島の人達を呼んでください。」

食堂のおばさんは下男の霜島と公民館に行き、放送を流した。

「お館様と執事が亡くなりました。島民は至急お館に集まって下さい。」

ほとんどの島民が集まった。

それでも全員で16人で、脚が悪く、これなかったのが3人。

館には食堂のおばさん、下男の霜島、下女の清水、運転手兼庭師の海野と俺とサツキの6人。

俺は島民の中に朝見かけた白装束の女の娘がいたのを見つけ、彼女から目が離せなかった。

もちろん彼女は白装束ではなく、シンプルなブルーのワンピースを着ていた。

ー凄く可愛い。写真に撮りたいが、我慢しよう。ー

食堂のおばさんが掻い摘んで事件の説明をすると、大騒ぎがはじまった。

「後1週間も殺人鬼と一緒に島で生活しろというのか?。」

「何故、お前達、よそ者の言う事を聴いて行動してるんだ。」

「よそ者が怪しい。二人を拘束しろ。」

大騒ぎの島民達にむかい、サツキが行動に出た。

先ず、手を叩き、

「はい。静粛に。僕らよそ者には殺人の動機がないし、土地感もない。密室殺人や無線を壊すには、この島と被害者に対する知識が必要です。」

「じゃあ、何故よそ者が仕切っておる?。」

「それは、僕が殺人現場で一般人がどう対処すべきかという知識を持っているからです。人は、専門家に従います。」

「そうか、大学生だものね。法律の勉強をしてるんだ。」

下女の清水の言葉に皆、

「そうなんだ。」

と、納得しはじめた。

ー俺達、経済学科だから、経済の法律は知ってるけど刑法とか勉強してないぞ。ー

俺は俺達が経済学科だとは黙っている事にした。

「誰か、不審な人物を見たり、夜館の周りで誰かに会ったり、被害者を恨んでいた人を知りませんか?。」

サツキの問に、

「島の皆は早寝早起きだから、9時には寝てしまう、夜館の周りに行く人は居ないよ。」

「お館様は引きこもりだ。館の外の人間とは関わらない。」

「それでよく館をホテルにするつもりでしたね。」

「全員本土の従兄弟の指図だ。従兄弟から金を借りてたらしい。ホテルになってもお館様は何もしない予定だったんだ。」

食堂のおばさんが苦々しげに言った。

「従兄弟はどんな人なんですか?。」

「前お館様の弟の息子で、お館様が本土の高校に行った時に仲良くなったらしい。従兄弟はこの島には来た事が無い筈だが、彼の父親はこの館で育った。」

「執事の滝口さんはどんな人でした?。」

「お館様のお手付きだって噂があったが。」

「お館様は80才過ぎで、彼女は45才位でしょ?。そういえば、彼女は勤続何年ですか?。」

「二十二年になる。」

「二十代で執事になったのか、お手付きって噂されるでしょうね。後、館に外に出る仕掛けがあるという噂があるそうですが、この仕掛けについて知ってますか?。」

「そんな噂聞いた事もない。」

皆は口々に答えた。

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