CMソングが離れない

三日前からワンチュールのCMソングが頭から離れない。

ふとした時に口ずさんでしまって、家族に迷惑をかけている状況だ。


ワンチュールを私が歌い出すと、家族の誰かが、


「わんわん!」


と合いの手を入れてくれる。

この連休中は妹と娘が特に合いの手を入れてくれていた。


わんわん! と、ちゃんと犬の鳴き声みたいに言ってくれるところ、付き合いイイなって思う。


だけど、連発して口ずさんでいたら、


「ねえ、もうそろそろやめてくれない? わんわんって言うの疲れるから」


と、妹からクレームが来てしまった。

別に私は合いの手を入れるよう強制はしていないんだけどな……。


しかし三日もこれが続くと、さすがに私も飽きてきた。

歌うのを止めたいのに止められない。

そろそろワンチュールを忘れたいけれど、どうしたらいい?


ワンチュールが頭にこびりついてどうにもならないのだ。


その作曲者、かなりの才能の持ち主だと思う。

人ひとり、さらに合いの手二人の時間を、あのフレーズで満たしてしまうのだから。


さらにこんなふうに記録にまで残してしまう私、ワンチュールの歌にはすごい依存性があるようだ。

さぞかし商品も美味しいんだろうな。


妹の愛犬のポメチワは、ワンチュールを食べたことがあるのかと聞いたら、


「高くて一回しか買ったことないよ。でも喜んで食べてたよ」


との回答だった。


そうか。ワンチュールは高級品なのか。

妹の愛犬、なかなか食べさせてもらえないんだね……。


私は足元でチョロチョロと動き回っているポメチワに、せめてもとワンチュールの歌をうたってあげた。



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