第六話 そして私は紅月汐という少女と手を振り別れた
【まもなく、
私は少しばかり、というか凄い名残惜しい気持ちでキャリーバックをを持つと席を立った。すると、汐がお見送りをしてくれるようで、出口にまでついてきてくれた。そして「いやぁ、非常に楽しい時間をありがとう」と言ってくれたので、このまま青春映画みたいに乗っちゃおうかと本気で思った。
特に何かを言う訳でもなく、汐は私が美味しいと言ったソフトお煎餅のお菓子の残りをお土産代わりに渡してくれた。不思議な事に食べかけのお菓子を渡されるのがなんだか、それだけ親しい間柄になったようで少しばかり嬉しくもあった。
そろそろ、この新幹線は次の駅に言ってしまう。私は「また今度電話するから、その時ゆっくりお話しようよ! 汐の方からも電話してきてよー!」とできる限り明るく、寂しがっているダサい姿を見せないようにそういった。「あぁ」「じゃあね」と私は汐にそっけなく返してみたけど、まだ時間があるらしい。
電車も空気読んでここは扉が閉まってくれればいいのに、私は照れ隠しにさっきの事を言ってみた。「もう、なんなら新幹線に乗って汐といけるところまで行ってみようかな、なんて」と「ふーむ、それは……恐らく、やめておいた方がいいかもしれないね」と不適な笑みを残して、新幹線の扉は今頃プシューっと閉まった。
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