第5話 紅月汐が語る驚愕の事実
汐は今にも噛みつきそうな
「おい、汐。流石に今のはやばいって、火に油を注ぐなよ」」
「いやいや、火に油を注いだって実際燃えないんだよ。むしろサラダ油だと消火すらできる」
何言ってんだ。融点の話か? 今はそんな理科の話じゃなくて、人間の気持ちの問題の事を言っているんだ。
「紅月さん、ほんと何しにきたの?」
ほら、めっちゃ怒ってんじゃん。汐に便乗して俺まで睨みつけられるハメになるとは思わなかったが、これ
じうーという下品な音を立てながら汐はジュースを啜る。「相槌をしただけ」と確かに汐は嘘は言っていない。
「小学生と中学生の私の事知ってるのは汐だけなんだから、絶対変な事言ったでしょう! 嘘つかないで!」
いや、ほんと待て!
俺は小学校も中学校も汐と一緒に学校に行っていたけど、
「おい、ちょっと話が見えないんだけど?」
俺は、思わず二人の話に首を突っ込んだ。すると、
「倉田くん、君FRS発症してるからだよ」
汐は面白がって
変人だが、汐はいい奴には違いない。
「アンタの事でしょ!」
「あぁ、私も発症している。そして君もそうだ」
根拠は一体なんなのだと部外者の俺が思うも、汐には何かが見えているんだろう。
明らかに汐の発言に対して怯えている。言い方に配慮がなかった事は間違いないのだが、
唇が震えている
俺の言葉にびくんと
汐がようやく口を開いた。
「いつから見えてるんだい?」
意味深なセリフ。「……遠足に行く少し前」と
口に出した事で落ち着いたのか、
汐は変わらずに、
「はっきりとじゃなかった。何か、紅月さんの周りにモヤが見えるようになった。そしてそれはゆっくりと、遠足の日に鮮明に見えるようになった。紅月さんのFRSの症状だと思っていたのに、私にはそれが四六時中見えるようになった。私が……」
その後の言葉が詰まった
「いる筈のない成長した男の私がいる」
一体、何を
「父方の姓を名乗る
えっ?
どういうこと?
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