第4話
昨日の出来事が受け入れられないぼくは眠りも浅く目が覚めると朝の7時になっていた。
スマホで今日の日付を確認する。
8月11日 ディスプレイに表示された日付を確認すると日付が1日進んだ事を理解した。
音羽とは14時に待ち合わせをしている。
とりあえずシャワーを浴び昨日の様な惨劇を繰り返さない案を考える事にした。
20分ほどで終えると風呂場をあとにした。
スマホを手に取り音羽に電話を繋げた。
「もしもし音羽急で悪いんだけど今日早めに会えるかな。」
「もしもし、誰ですか?何で私の連絡先知ってんの?」
ぼくはすぐに異変に気付いた。
話し方や口調が違い違和感しかない。
「何言ってるんだよ音羽。僕だよ椎名陽大だよ。忘れたのか?今日会う約束してたじゃないか。早めに会おうと思って連絡したんだよ。」
「椎名陽大?私の友達や知り合いにそんな人はいないけど?そもそも何で私の名前知ってるの?怖いんですけどストーカーですか?ストーカーなら電話切るけど。」
ぼくは冷静さを失い慌てていた。
2度と電話に出てくれない可能性もあるため言葉選びは慎重になっていた。
「今の君は信じられないかもしれないけどぼくたちは友達で今日の14時会う約束してたんだ。訳あって早めに会えるか確認したくて連絡しただけなんだ。」
「うち、今日仕事なんだけど?会おうと思えば会えるけど少し怖いんだよね。知らない人に私の連絡先知られてること。」
ぼくは音羽には聞こえないよう深呼吸した。
「その時間、君はどこにいるんだ?ぼくは本当に怪しい者じゃないしこの世界ではぼくらは他人かもしれないが君の両親とぼくの両親も仲が良くて子供の時はよく遊びに行っていたんだよ。本当なんだ信じてくれ。」
「悪いけど うち10時から仕事だから用意しないといけないんだよね。まだあなたを信じれないけど用事あるならヘブンズドリームってお店で働いてるから会いたいなら来て。じゃあ。」
一方的に電話は切られたが収穫はあった。
居場所さえ分かれば会おうと思えば会えるためだ。
聞いた事もないお店の為スマホで検索するとソープランドと出てきた。
ぼくは焦った。
スマホを持ったままぼくは停止してしまっていた。
ぼくにとって大切だと思える人が見ず知らずの男の快楽道具となっていることに憤りさえ感じる。
このようなお店に行ったことのないぼくでもそれなりに高いお金が必要だとは知っていた。
ぼくは金額を見て驚いた。
120分4万円。
高くも感じるが安くも感じた。
お金さえ積めば対価として音羽に如何わしいことができるためだ。
ぼくは決して如何わしい事がしたいためではない。
音羽に会わなければ未来が変えられないためだ。
音羽をお店のホームページで探していると
"おとは" と言う名前で出てきた。
見た目はさほど変わっておらず少し茶色に染めた髪色で腰まで届きそうな長さの髪型だった。
一刻も早く会いたいため予約を見ていると10時から空いており電話で予約することにしたがまだ営業時間まで時間があるため先に身支度をすることにした。
まさか友達に会うためだけに急な出費が掛かるとは思っていなかった。
お店の場所の確認、お金の用意などをしていると営業時間になり電話すると女性の方が親切に対応してくれお待ちしておりますと言われ電話は切られた。
怖いお兄さんと会話をするものだとぼくは思っていたが一安心した。
ショルダーバックを持ちぼくは家を出てお店に向かった。
40分ほどでお店には着き2度目の一安心をした。
ここに音羽がいる嬉しさと悲しさが募る。
店に入ると左の壁には音羽の写真が貼られていることにすぐ気づいた。
店の中には3人ほど若い男性店員が居り"いらっしゃいませー"と元気な声で迎えられるなり"予約の方ですか"と聞かれぼくは"おとはさんを指名しました"と言うと"120分コースで4万円ですね"と言われ窓口で現金を差し出すと待合室に連れて行かれた。
待合室はタバコ臭いが部屋中に漂っており
ぼくは常に服にニオイが付くのではないかと気になって仕方がなかった。
数分経つと店員の男性がどうぞこちらへと言い案内されカーテンで仕切られた場所へ立たされた。
壁には禁止事項が書かれており"禁止事項は守ってください"と言われるなり"ではお楽しみください"と言うとカーテンを開くと目の前には階段があり登り切った所に音羽が居た。
ぼくは階段を登り音羽の横にいくと
「あなたが今朝電話してきた人だよね?本当に来たんだ。危ない物とか持ってないか悪いけど確認させて。」
ぼくは音羽にショルダーバックを渡すと部屋の方に向かいながらバックの中身を確認していた。
「ここがうちらの部屋。入って」
ぼくは未知の世界へ足を踏み入れると
部屋の中は風呂場とベットがあり仕切りもない場所だった。
ぼくは戸惑いながらとりあえずベッドに腰を下ろすと隣に音羽が座りぼくのズボンのポケットに手を突っ込み確認を始めた。
「音羽ぼくのポケットには鍵しか入ってないよ。本当にぼくは怪しい奴ではないんだよ。」
「本当に~~??」
"おとは"は訝しげにぼくの方を見る。
まだ信じられていないのか
ぼくは危険な奴のようで
"おとは"からすれば信用性0の人間にぼくはなっているようだ。
悲しいがぼくはそう感じてしまう。
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