第10話 火照る身体 ラフィーナ視点
【ラフィーナ視点】
「もう少しで王都です」
今は馬車の中。
エリートゴブリンの襲撃で、王都への到着が遅れている。
予定ではすでに王都に到着しているはず。
一刻も早く王女殿下にグラストさんを会わせないといけないというのに……
「わかった。すぐに王女殿下を治すよ」
私の横に座るグラストさんは、落ち着いて言う。
焦っているわたしと違って、グラストさんは冷静だ。
(さっきもわたしを助けてくれた……)
もう死ぬとわたしは思った。
大聖女としての使命を果たせぬまま、エリートゴブリンたちに殺されると……
普通の神官は、ただ人を癒すことしかできない。
だけどグラストさんはヒールを応用して、エリートゴブリンたちを倒した。
あり得ない魔力量と、抜群の魔法センス。
グラストさんなら、本当に王女殿下を助けられる。
王女殿下の呪いが解ければ、人族は救われる……
(グラストさん、カッコ良かったな……)
わたしにコートを貸してくれた。
ぎゅっと、グラストさんのコートを握る。
グラストさんの横顔を見ると……割とイケメン。
(そう言えばわたし、今は裸なんだった……)
コートの下は、わたしは何も着ていない。
エリートゴブリンに服を切り裂されたから。
そして隣にはグラストさんがいる……
(なんだか変な気分になってきた……)
寒いはずのに、身体が火照っている。
お腹の下のほうが熱い感じ。
(あ、これは……っ!)
だんだん乳首が堅くなってきて……
隣にグラストさんがいるのに。
これから王女殿下を治しに行くのに。
わ、わたしはいったい何をしているの……!
「どうした? 顔が赤いみたいだけど」
グラストさんがわたしの顔を覗き込む。
「っ!! だ、大丈夫ですっ!」
とっさにわたしは、顔を伏せる。
すごく恥ずかしい……
こんな大事な時にわたしは何を——
「??」
「……あの、ちょっと疲れただけです。気にしないで大丈夫です」
「そうか。なら少し休んでよ」
「……! ありがとうございます……っ!」
グラストさんは、やっぱりお優しい。
しっかりしなくちゃ……!
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