第9話 グラストさんは神様みたいな人です
「クソぉぉぉっ!」
エリートゴブリンたちは、俺を斬りまくる。
だが——
「無駄だ。自動治癒で一瞬で治せる。お前らに俺を殺すことは無理だ。諦めろ」
「ぐぐぐぐぐ……ど、どうすれば」
エリートゴブリンたちは、焦った表情で俺を見ている。
自分たちの攻撃がまったく効かないのだから当然だ。
「今度はこっちの番だ」
「ひ……っ!」
俺はエリートゴブリンたちに近づく。
こいつらには、拳で十分だ。
「ヒールは人体の自然治癒能力を向上させる。裏を返せば人体を強化することにも使える」
「な、何……?」
「強化!」
俺は自分の拳にヒールをして強化する。
うん。だいぶ硬くなったな。
俺の拳から漏れ出る唯ならぬ量の魔力に、エリートゴブリンたちは、
「や、やめろ……く、来るな!」
「おいおい。お前らから襲ってきたんだろ? 自分はやるのはいいが、他人はダメなのか?」
「わ、わかった! 俺たちの負けだっ! 許してくれ……!」
「ダメだな。撃っていいのは、撃たれる覚悟があるヤツだけだ」
俺はエリートゴブリンの、リーダー格のヤツに近づいていき、拳を振り上げる。
「やめろ……や、やめてくれえええええええっ!!」
「癒しの拳おおおっ!」
「ぎゃあああっ!」
拳がエリートゴブリンの顔にめり込む。
手応えあり。
顔の骨がバキバキに折れちまったな……
「ぶは……っ!」
エリートゴブリンは吹っ飛んで、後ろの木に激突。
そのまま泡を吹いて倒れた。
「おい。こいつマジでやべえぞ」
「まだ死にたくない……!」
「に、逃げるぞ!」
他のエリートゴブリンたちは、一斉に逃げ出した。
リーダー格のヤツを置いて……
せめて運んでやれよ。
「ふう……とりあえず切り抜けたか——」
と、俺が一息ついた時、
「グラストさん……っ!」
「ぶっ!」
ふにょんっ!
ボールのような弾力のある柔らかなものが、俺の顔を覆い尽くす。
これは……おっぱい?
「ありがとうございます……っ! グラストさん救われました!!」
ぎゅうぎゅうと、でかすぎるおっぱいに顔が挟まれる。
「……無事でよかったよ。ラフィーナさん」
ぶるぶると身体を震わせるラフィーナ。
「どうしました?」
「……本当にごめんなさい。わたし、グラストさんの力を疑っていました。本当にわたしが愚かでした……ごめんなさい、ごめんなさい……」
ラフィーナは俺の胸に縋りついて、泣く。
ゲームの設定だと、ラフィーナは平民出身の聖女だった。
ある日、聖女の紋章が突然現れて、聖女に選ばれる。
教会に連れて行かれたラフォーナは、厳しい聖女教育を受ける。
もともと真面目で責任感の強い性格のラフィーナ。
大聖女として民衆を導くために、ずっと頑張ってきた。
だから俺を疑ってしまったことに、罪悪感を抱いたんだろう。
「大丈夫だ。人は自分の目で見たこと以外は信じないし、俺は全然気にしてない」
「はい……わたしはこの目で見ました。グラストさんの力を……」
「そうか」
「だから、これからは信じます。グラストさんのことを」
俺のことを信じる……か。
誰かに信じてもらえたらのなら、その期待に応えないといけないな。
それはそれとして――
「そろそろ服をなんとかしないと……」
「!! わ、わたしなんてはしたない恰好で!! ごめんなさい!」
そう。今のラフィーナの裸だ。
おっぱいもお尻もぜんぶ見えている状態で……
「わたしの貧相な身体なんか見せちゃって……ごめんなさい」
「謝らなくていい。悪いのは全部あのゴブリンたちだから」
ちなみにラフィーナの身体は、まったく貧相ではなく……
逆にかなり豊満なほうだ。
出るところは出て、引っ込むところは引っ込んだ感じ。
肌は透き通るように白くて滑らかだ。
そんな美女に裸の状態で抱きつかれると……俺の勇者が反応してしまう。
「ほら、これを着て」
俺は自分のコートを脱いで、ラフィーナに着せてやる。
「いいんですか……グラストさん、寒くないですか?」
今の季節は、冬の始まりだ。
風が少し肌寒く感じる。
「俺は大丈夫だよ。ラフィーナさんのほうが寒いだろ?」
「……っ!! グラストさんはお優しいですね。まるで神様みたいです」
「ははは……神様は言い過ぎだよ」
「お礼は必ずしますから」
いったいどんなお礼なんだろう……?
コートからチラチラ見えるおっぱいを見ると、そっち方面のお礼を想像してしまう。
「ふふ。お礼、楽しみにしていてくださいね♡」
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