第120話 食料問題を、解決する


「セイラちゃん、やったね。何でも好きなものが、好きなときに作れるよ。無から」

「ああ、そう……」


 でもセイラちゃん、あんま喜んでいない。


「どうしたの? 神のスキルだよ? うれしくないの?」

「ミカ神どの」


 ルシエルが、セイラちゃんの頭をよしよししながら聞いてくる。


「逆に聞きますが、ミカ神どの、神のスキルを貰ってうれしかったですか?」

「え、別に……? 望んで貰ったものじゃあないし……って、あ」


 あれ……?

 もしかして……。


「セイラちゃんも、別に望んだものじゃあない……? 鼻スパカウンター」

「「当たり前だろ(でしょう)っ?」」


 あれぇ……?


「で、でも無から有を作り出すんだよ。ノーコスト、ノーリスクで。凄くない?」

「凄いけれども。セイラどのは錬金術師だぞ?」


「え、だから……?」


 はぁ……とセイラちゃんがため息をつく。


「錬金術の原則は、等価交換。何かを手に入れるためには、何かを犠牲にする必要があるのよ」


 漫画で読んだな。


「ゼロから1を作るスキルを、等価交換を原則とする錬金術師が、許容できるわけないじゃないのよ!」


 錬金術師は、1という犠牲のもと、新しい1を作り出す。

 一方で、創造スキルは0からノーリスクで1を作り出すんだ……。


 って、あれ……?

 まさか私……。


「セイラどのに与えた力は、あくまでミカ神どのご自分にとって都合のいいアイテムであって、セイラどのが望んだものでもないのです」


 だから……喜んでいないのか……。


「ミカ神どの。あなたのやってること、モリガンに近いぞ?」

「ええええええええええ!?」


 そんな……!?

 うそぉおお!?


「私とあの自己中駄女神2が同じことしてるっていうの!?」

「はい。よく考えてください。モリガンがあなたにやったことのなかで、貴女が喜んだものってありますか?」


「な、ない……!」

「でしょう?」


 とルシエル。


「そんな……私……モリガンと同レベルなの……?」


 なんてこった……。

 私は……なんてことをしてしまったんだ……!


「みーちゃん、落ち込まないでっ。どんまいけるだよっ!」


 メイちゃんが私を慰めてくれる……。

 ありがとうメイちゃん……。


「予想以上にショック受けてるわね、ミカ」

「あの人の中で、自分は駄女神よりましだという意識があったのでしょう」


 ありました……。

 駄女神三姉妹(トゥアハーデ・モリガン・だぐ子)よりは、ましな神だって……。


 でも、まさか……同列とは……

 ……ああ、そっか。


「類は友を呼ぶっていうものね……」

「「そうですね」」


 否定して欲しかったんだけどねそこは……。


「ルシエル。私どうすればいいかな?」

「好きにすればよいのでは?」

「え? いいの……?」

「はい。ミカ神どのは、そのままで」


 そのままの私で良いよって、言ってくれる。やさしい……。


「……いいの? ルシエル。あのままで」

「……ええ。どうせ何言っても、変わらないで」

「……確かに人間根っこの部分は変わらないっていうものね」


 ルシエルとセイラちゃんが仲良しさんだった。

 仲良きことは良いことかな。


「さて! じゃ、食糧問題に戻りましょう!」


 メイちゃんの世界樹パワーで、野菜がたくさん、畑になった。


「これどうするの? こんなたくさん、収穫するのも大変じゃあない」

「そこは問題なーい。野菜眷属さんたち、たのみまーす」


 ボックスから野菜眷属(受肉体、眷属体)が出てくる。

 彼らが手分けして、野菜を収穫していく。


「マンパワーってバカにできないわね。バカにしてごめんね、ミカ」

「いいってことよ。気にしてないから」


 野菜眷属たちのおかげで、お野菜を山盛りに収穫しおえた。

 目の前には、野菜の山がどどん! と置いてある。


 とりあえずボックスに収納。


「収穫できたから、あとはこれを、難民の皆に配ろうかな」

「くばるって……こんなたくさん渡しても、食べきれないでしょ」


 思った以上に、野菜の収穫量は多いのだ。


「野菜ってまあ、日持ちするものもあるけど、ほっとくと腐るわよ」

「そうだね。だから、ボックス、分割」


「は……? ぶん……かつ?」


 私の目の前に、無数のボックスが出現。


「これって……ミカの強化アイテムボックスよね? これをどうするの?」

「難民達に配ろうかなって」


「ぴぴー!」


 ルシエルが、いつの間にか取り出した笛を吹く。


「え、なに?」

「ミカ神どの。アウトー」

「は? アウト……? なに……?」


 はぁ……とルシエルがため息をつく。


「あんたねえ、ミカ。ボックスは、強化アイテムボックス。とても強力なスキルじゃあないの。それを無償で配る?」

「うん。あると便利だよね?」


「うん、便利は便利よ。でも、難民達って、流れ着いた民でしかないのよ? 持ち逃げされたらどうするの?」


 ! た、確かに……。

 セイラちゃんみたいに、ここにズッと居る、保証は……ない!


 ボックスは、中身を共有されている。

 仲間を持ち逃げされちゃうかもだしね。


「わかった。野菜は、配給制にするよ。それならいいでしょ?」

「そうね。それが良いと思うわ。マンパワーも足りてることだし」


 野菜眷属(受肉体)、たくさん作っておいて良かった。

 完全に、後づけだけども。


「しっかし……KP、がっつりへったなぁ……」


 KAmizonで買い物すると、減っていく、KP。

 街作りの際に、めっちゃポイント使ったので、KPがだいぶ少なくなった。


「確か、原油とやらをめる神で売って、ポイントを確保していたのだな?」


 ルシエルが、メイちゃんをおんぶしてる。

 メイちゃんおねむなようで、ルシエルの背中ですやすや寝ていた。ありがとうルシエル。さすがシッター。


「そう。でも原油も取り過ぎると、枯渇しちゃうからなぁ」

「そりゃ、一箇所から取り過ぎたら、枯渇は不可避でしょ」


 とセイラちゃんが至極まっとうな意見を出してくる。たしかに。


「他に油田ないの? リシアが言っていたけど、あちこちでデッドエンドでは、あちこちで、原油取れるんでしょ?」


「らしいけど、リシアちゃんも具体的に場所知ってる訳じゃあないみたいだし」


「ま、じゃあ」

「そうだね。じゃあ」


 全知全能インターネットさんの、出番ですね。


~~~~~~

「原油の場所」

→一番近い場所だと東に1キロ。ただし、神威鉄オリハルコンの地層に覆われてる

~~~~~~


「一番近い原油の場所、なんか神威鉄オリハルコンの岩盤? があるらしいよ」

「うーん……それじゃ、掘り起こすのは難しいわね」


「なして……ああ、待って。調べるわ」


~~~~~~

神威鉄オリハルコン

→世界で最も硬い物質。正攻法による、物理的手段では、絶対に破壊不可能。

~~~~~~


 あらまあ、ほんとみたい。


「神プロテクト解除して、ぱーん! は……あぶないよねえ」

「地下の原油全部どこかに飛び散ってもいいなら、やってみたら?」


 うーん……。

 じゃあ、全知全能インターネットさん、なんとかできませんかね?


~~~~~~

「原油の採掘方法」

→霊毛を使用する

~~~~~~


 なるほど。

 あのお化けちゃんからもらった、霊毛を使うのか。


 あれが、ぷすっと地面に突き刺さったら、地下水湧き出してきたし……。


「いや、でもあのときと状況ちがく無い……?」

「調べてみるね」


~~~~~~

「霊毛を使った、原油採掘方法。そもそも可能なのか」

→可能。霊毛は、霊体であり、どんな物体もすり抜けることが可能。

霊毛がすり抜けた場所は、霊道といって、物体が通り抜けできるようになる

~~~~~~


 霊毛でふれると、対象が霊体(非物質化)するみたい。


「だって……って、どうしたの、ルシエル」


 ルシエルは目元を押さえていた。


「いえ……成長なされましたね……ミカ神どの……」

「そりゃ、まあ。あんだけ言われたらね……」


「その調子ですよ、ミカ神どの! きっと全知全能インターネットさんもお喜びです」


 そうかなぁ?


~~~~~~

全知全能インターネット、喜んでる」

→ヾ(@⌒ー⌒@)ノ

~~~~~~


 喜んでる!?


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

【☆★おしらせ★☆】


新作始めました!


転生幼女は愛猫とのんびり旅をする~「幼女だから」と捨てられましたが、実は神に愛されし聖女でした。神の怒りを買ったようですが、知りません。飼い猫(最強神)とともに異世界を気ままに旅してますので


以下のULRをコピーしてお使いください。



https://kakuyomu.jp/works/16818093091661211267

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