第10話 聖女の料理で眷属パワーアップ



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・所有KP

116,020,000KP

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 約1億もの神ポイントを、フェルマァのおかげでゲットした。


 1神ポイントが現実でどれくらいの価値を持つのかは知らない。

 が、これが1KP=1円だったとしても、1億円である。


 お金の心配はこれで完全になくなったので、ネット通販で欲しいものを買いまくることにした。


 日用品、生活家電、そして寝具や衣類。

 それらをお野菜眷属ちゃんズに、ログハウスの中に運んでもらった。


 ややあって。


「…………」ぴこぴこ。


 庭先のテントの中に、眷属のトマトくんが入ってきた。


「お? 荷物運ぶの終わった?」

「…………」こくんっ。


「ありがとう」


 私はトマトくんの頭を指で撫でる。


「…………」てれてれ。



 うーん、可愛い。頭がトマトで、表情が見えないけども。


「フェルマァ、私ちょっとログハウスの中にいるね」

『かしこまりました』


 私が立ち上がってテントの外へ行こうとすると……。


「みーみー!」「みゅ! みゅー!」「…………」


 私の脚の周りに、子フェンリルのふぇる太、ふぇる子、ふぇる美がまとわりついてきた。


「どうしたの?」

『息子達は、ついて行きたいようです』

「わかった。じゃあ、ついておいで」


 ということで、子フェンリルらとともに、ログハウスの中へと入った。


 ログハウスの中は暖房がめちゃくちゃ効いていた。

 暖房もKAmizonで売っていたのだ。


 燃料が必要なストーブよりも、電力で動く暖房のほうがいい。


「み~?!」「みゅみゅう!」「…………」


 子フェンリルらも、中の暖かさに驚いてる様子。

 目をとろんとさせていた。


 私は子フェンリルらを連れて、リビングルームへと向かう。

 

 リビングには暖色の電気カーペット、そしてこたつが設置してあった。

 KAmizonで購入したものだ。


 こたつの置き場については、トマト君に指示を出していたのである。


 私はカーペットの上に座る。

 そして、こたつに脚をツッコミ、電源をオン。

 

「はぁー……あったかぁい……」


 足先からじんわりと暖かくなるこの感覚……本当に久しぶりだ。


「ほら、おいでふぇる太、ふぇる子、ふぇる美」


「みー!」「みゅう!」


 ふぇる太、ふぇる子が真っ先にカーペットに飛び乗る。


「み~~~~~!」「みゅう! みゅうー!」


 二人がコロコロとその場で転がる。

 そして、こたつ布団の中に頭を突っ込んできた。


「「み~~~~~~~~~~~!」」


 歓喜の声を上げる、ふぇる太、ふぇる子。

 どうやらあまりのあったかさに感動してるようだ。


 このこたつ、別に私が造った訳じゃあない。

 けどこんな風に、日本のアイテムに驚いてくれると、ちょっと優越感を覚える。


「どう、あったかいでしょう?」

「みー!」「みゅう!」


 ふぇる太、ふぇる子はこたつの中から返事をする。

 って、あれ?


「ふぇる美?」

「…………」


「わ、いつの間に……」


 ふぇる美ちゃんは私の膝の間にすっぽり収まっていた。

 ふぇる太たちと違って、物静かな子だ。


 無駄吠えしない、けど感情がないわけではない。

 私の膝の間にすっぽり収まった状態で、とろん……と目を細くしてる。


 私はふぇる美の頭をよしよし撫でる。

 絹のごとくすべらかな手触り。


「ああ……こたつに入りながら、子犬をもふもふできる日が来るなんて……」


 日本にいたころは犬を飼う余裕なんてなかった。

 実家は、ペット禁止だったし。


 いつかペットを飼いたいと思っていたのだが、異世界に来て、念願叶うとはね。


『聖女様』


 ぬぅ……とリビングの窓から、フェルマァが顔をのぞかせる。


『息子達がご迷惑をおかけしてないでしょうか……』


 どうやらさっきからふぇる太たちが吠えてるせいで、彼らが私に迷惑かけてると思ったのだろう。


「大丈夫だよ。気にしないで」

「みー!」「みゅう!」「…………!」


 子供たちがお母さんに何かしゃべっている。


「なんて言ってるの?」

『ここ、あったけー……! だそうです。お母さんも来ればって……』


 確かにフェルマァも来れば良いのに……って思ったんだけど……。


「フェルマァ、中、入れないよね」

『そうですね……ここは人間サイズのお屋敷ですし』


 うーん、残念。

 子供達だけ暖かいところにいて、お母さんだけ寒い外ってのは、ちょっと可哀想かな。


「なんか小さくなることかできない?」

『わたくしたちフェンリルには、【人化スキル】というものがあります』


「人化、スキル?」

『文字通り人に化ける術のことです。ただ、このスキルを使うためには大量の魔力を必要とします』


「ふぅん……大量の魔力ね」

『はい。わたくしはまだ若輩フェンリルでして、体内の総魔力量は多くないのです』


「人化はできないって?」

『はい。そももそ、修行しないと、人化スキルを習得できないのです』


 人化すればログハウスの中に入って、みんなで暖を取れるのに。

 うーん、なんとかならないだろうか。


 ん?

 ふと、私はあることに気づく。


「あなたって今私の眷属になったことで、人語をしゃべれるようになった。なら……人化スキルも覚えたとかって、ない?」


『どうなんでしょう……。鑑定でもしてみないことには』


 鑑定。

 ネット小説や異世界系のアニメでよく見るスキルだ。


 でも、あいにくと私には鑑定スキルはない。あるのは、インターネットスキルだけだ。


「インターネットで、フェルマァのステータスとか調べられないかな……なーんて」


 冗談で、【フェルマァ ステータス】で検索してみた。


~~~~~~

フェルマァ

【種族】フェンリル

【レベル】450

【HP】4500(×10)

【MP】4500(×100)

【攻撃】450(×10)

【防御】450(×10)

【知性】450(×10)

【素早さ】900(×10)

【加護】 山聖女の加護

(全ステータス×10)(成長速度上昇)

【スキル】人化、人言語理解、念話、空歩、上位雷魔法、上位氷魔法、上位風魔法、上位物理攻撃無効、上位魔法攻撃無効、絶対切断

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『どうなされました?』

「……ちょっと待って。整理させて、いったん」


 この数値とか、スキルとかって、もしかしてフェルマァのもの……?


「フェルマァって、雷と氷と風の魔法使える?」

『!? ど、どうしてそれを……?』


「なんか、あなたのステータス……ネットに載ってたの」

『!?!?!?!?!?!?』


 インターネットっていろんな情報がおちてるけど……まさか、フェンリルのステータスまで乗っているとは……。

 って、いやいや。ありえない。


 これも神パワーで進化したネットの力だろうか……?


「駄女神! って返事ないし。もう……なんなの……あいつ……」


 肝心なときに返事よこさないんだから。


「人化スキルがあるみたい。それと、魔力量も450000くらいあるって」

 

『ま、ま、魔力量45万!? あり得ないです、そんなの……魔王種クラスです!』


 魔王……種……?

 

「ともかく、魔力はめちゃくちゃあるみたいよ」

『わたくしの魔力量は確か2000くらいだったのですが……』


 ううん、わからない。わからないことだらけだ。

 駄女神が今こそ必要なときなのに。


「そもそもなんで魔力量100倍されてるの? 心当たりは?」

『そういえば、聖女様に振る舞っていただいた、あの美味なるお肉を食べてから、体の調子がとても良いです』


 肉を食べてから……?

 私は気になって、KAmizonで買ったお肉をもう一度購入。


 ぼんっ、と目の前にパック入りの国産和牛が出てくる。


「国産和牛 ステータス、で検索……っと」


~~~~~~

・国産和牛

→異世界の牛の肉。

効果:魔力量10倍

~~~~~~


 KAmizonで買った、日本の和牛を食べたことで、魔力量が増えたようだ。


「どうやら焼き肉の影響で、魔力量が10倍になってるみたい」

『! そ、それは凄いです!』


「すごいの?」

『はい! 魔力量を増大させるアイテムや薬は、この世界には確かに存在しますが、希少です。しかも効果も10%増大とか、その程度です』


「え? じゃあ、10倍って……」

『破格です!』

「そうなんだ……」


 すごいな、日本の食材……。

 まさかステータスアップアイテムだったとは……。


『人化スキル、試してみます!』


 ぱぁ……! とフェルマァの体が光り輝く。

 そしてすぐに光が収まると……。


「わ! び、美人ね……」


 20代くらいの、グラマラス高身長美女が、窓の外に立っていた。

 銀髪の、それはもう美人さんだ。


「本当に人化できました!……へくちゅっ」


 フェルマァは何も着てなかった。

 私は慌てて外に出て、ダウンジャケットをかけてあげるのだった。

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