第4話 神からの贈り物と新生活スタート

 え、神からラインが来たの?

 いやいや、ありえないでしょ。何かの悪戯……?


 ピコン♪


【悪戯じゃないよーん。ワタシ、神でぇす。どもどもうぇーい】


 ……。

 ……なんだこれ?


 悪戯? 冗談?

 いや、待てよ。このラインの相手、私の心を読んだみたいだった。

 心を読むなんて、人間にできる技じゃない。もしかして、本当に神……?


 私をこの地獄に送り込んだ……?


【お、察しがよくて助かるぅ↑】


 ……むかっ。


【ちょいちょい怒らないでよぉ。ごめんってぇ】


 はぁ。

 で、あなたは本当に神なんです?


【そぉ。ワタシ神。君をこの世界に送り込んだ存在】


 儀式をしたのはこの国の人間なのでは?


【儀式をして門を創造したのはゲータ・ニィガのやつらだけど、ここに連れてきたのはワタシの力。ただの人間に、世界を渡すことなんてできないっしょ?】


 まあ、そういうもんかな。

 で、神様は、私がこっちにきて3年も経って、今頃話しかけてきて何がしたいわけ?


【いやぁ、ごめんねぇ。君に謝りたくって。謝るのが遅れたのは、たんじゅんにこのスマホの電源が今まで落ちてたからだよん。ほんとはもっと早くラインするはずだったんだけどねぇ】


 なるほど……

 私のスマホは、この世界に召喚された日にはもう、バッテリー切れで使えなかった。


 でも神パワーで、バッテリーを回復させるなり、方法はあったんじゃないの?


【ごっめーん★それ無理。神って基本、地上への物理的干渉できナッシングなんだよねーん】


 はぁ?

 なにそれ。じゃあ、スマホが使えるようになったのって、神パワーじゃないわけ?


【ザッツライト★ これはこの土地の持つ力だね】


 土地の力?


【ここは龍脈っていう、パワースポットなのさ】

「龍脈……」


【ちょーすごい魔力とでもいえばいいかな。ともあれ、この地にみちる魔力のおかげで、バッテリーが回復したのよん】

「もしかして、魔物が入ってこれないのも」


【そのとおりん。さすがミカりん察しがよくて助かる〜。あのゴミと違って】


 ゴミて……

 こごみのこと?


【そ、ごめんね。君とゴミは一緒に送るつもりなかったんだ】

「どういうこと?」


【当初の予定では、ゴミを先に送って、その100年後の世界に君を送るつもりだったんだ。でも手違いで同じ時間軸に送ってしまってね。そのせいで君に嫌な思いをさせてしまった。謝罪するよ。ごめんね】


 ごめんって……今更謝られても……

 でも、そうか。聖女召喚で呼ばれるのは、聖女ひとりのはずだった。


 けど二人きたのは、送り込んだ神の手違いが原因だったわけか。


【そ・こ・で! 君へのお詫びの品として、素敵な山暮らしをプレゼントふぉーゆー!】


 プレゼントって、まさか、この小屋?


【そー★この龍脈の地、この小屋、そしてこの小屋にある物全部! ワタシから君へのプレゼントさ! 好きに使ってチョンマゲ】


 いちいち表現が古臭いな……この神……

 え、というか、プレゼントって……


「じゃあここ、誰かが住んでいたってわけじゃないんだ」

【そう。君が快適に暮らせるように、用意したんだ】


「地上への干渉は禁止なんじゃ……?」

【ハハっ! 細かいことは気にしない!】


 軽くスルーされた。

 なんらかのずるでもしたんだろうか。


 まあ、ルールを破ってまでも、私に対してお詫びしたかったってことだろう。

 本当に申し訳なく思ってるんだろうな。


 はあ。


「もういいよ」

【ありがとぉ! ミカりんやさしぃ〜! ちゅきちゅき♡】


 き、きもい……

 性別はわからないけど、とにかくキモいこいつ……


【龍脈地では、家電が普通に使えるよ。あと畑にはたくさん栄養のつくものが植えてあるから好きに採って。あ、手入れいらないよ、自動で補給されるから】


 面倒な畑作業がいらないってこと?


【いえーす。あと本だなには伝説の魔導書てきとーに入れておいたから、暇つぶしに魔法の習得でもしたら? それと倉庫には伝説の武器をてきとーにぶち込んでおいたから、好きに使って。売るもよし、使うもよし】


 て、テキトー……


【トイレもお風呂も自動で綺麗になるからご安心を。あと水も蛇口ひねれば無限に出てくるから】


 インフラが整いすぎてる……!


【あと君のスマホ、ちょこーっと改造しておいた。いくつか便利神アプリも入れておいたから、有効活用してね】


 おい干渉しすぎないか……?


【それと困ったことやわからないことがあったら、気軽にラインしてね!】


 神と会話できる。これが一番のチートじゃないだろうか……


【他にご質問は?】


 ……まあ、とりあえず、ここは私のために用意された小屋で、好きに使っていいことが判明した。

 ここなら、インターネットスキルを活用し放題だし、神の用意したすごいアイテムやらのおかげで、快適に暮らせそうではある。


 ……一つ気になってることといえば。


「なんで、こごみを先に送るつもりだったの?」

【簡単さ。あの国を滅ぼすため】


「ゲータ・ニィガを?」

【そ。あの愚物は、そのために送り込んだんだ】


 なるほどね……。


「なんで滅ぼすの? というか、滅ぶのは確定?」

【滅ぼす理由は企業秘密。滅ぶのは確定だよ。だってあの国の結界は君がインターネットで調べて作った結界じゃないか】


 ……そう。

 私がここへきたばかりの時、結界を張れといきなり言われた。


 やり方がわからなかったので、ネットを使って調べたのだ(本当に結界の作り方って乗ってた)。

 まあ、十中八九失敗するだろうと思って、試しにやってみたら、これが本当にうまくいったのである。


【当然さ。君は偽物じゃなくて、本物の聖女なのだ。君の魔力には魔を退ける力がある。作り方はどうあれ、不格好であれ、作られた結界には魔を退ける強力な力があるのさ】


 なるほどね……


【ごみ女にも聖女の力はあげたよ? でもあのゴミはバカで愚かだから、使い方を調べようともしないだろうし、うまく使えるようになる訓練もしない。結果、結界がはれずに、国が滅ぶ。これはもう確定事項さ】


 ……神がこう断言してるのだ。

 本当にあのゲータ・ニィガとかいうクソ国は滅ぶのだろう。


 が、まあ、私には関係ない。

 神が与えてくれた、この地で、私は今度こそ、幸せな生活を送ろう。


「とりあえず、少し……寝る」


 本格的に色々動くのは、明日からにしよう。

 私は机に突っ伏し、目を閉じる。すぐに意識はブラックアウトするのだった。

 

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