第20話
その後も少し他愛のない話をして、雄真とフェンリルは寄り添い合って寝た
そして翌日から雄真は、フェンリルと 遊び という名の戦闘訓練を始めた
フェンリルは、じゃれて遊んでいるだけのつもりだが、5m程もある巨体から繰り出される突進や踏みつけは、人間である雄真には当たってしまえば大けがにつながるようなものばかりで、
だから、雄真にとってはこの世界で生きていく為のちょうどいい戦闘訓練となった
そんな楽しい日々は、2ヶ月を過ぎた頃に終わりを告げた
その日も、雄真とフェンリルは遊びという名の戦闘訓練(この日は隠れ鬼)をしていた時に、そいつはふらりと現れた
フェンリルが鬼で、雄真は逃げる役
人一人隠れきれるくらいの茂みにその日は隠れていたら、隠れていた茂みがガサガサと揺れだしたからフェンリルに見つかったと思い、
不意をつくような攻撃をして違う場所へ隠れようと考えた
だが、その茂みを揺らしていたのはフェンリルではないのだが、雄真はそれを知らない
ガサリ…
雄真は茂みの揺れが収まったところで相手に向かって勢いよく飛び出し、足払いを掛けた
雄真は足払いを掛け始めたところで相手がフェンリルではないと初めて気付く
フェンリルの巨体を考えての一撃
そんなものが数瞬で止められる事などなく、人っぽいそれに雄真の渾身の足払いは炸裂した
雄真の元の身体能力は初めから神をも越えていた
そして神に魔力を与えられ、その魔力で身体強化までしていたのだ
そんな足払いという名の暴力を、そいつはもろに食らった
「あっ!」
「…ぬっ!?」
雄真の叫び(?)と、そいつの声が重なった
「雄真!?」
「だっ、大丈夫ですかっ!?」
さっきの雄真の叫び(?)がフェンリルにまで聞こえていたのだろう
フェンリルが雄真を呼ぶ声が聞こえた気がした
だが、今の雄真にはそれどころではない
見ず知らずの人様に間違えて攻撃して、怪我をさせてしまったのだ
そいつに声をかけながら駆け寄る
先ずは安否確認だ
見たところ、骨は折れてなさそうだし、意識が飛んでいる訳でもなさそうだ
そいつは呻きながら上体を起こした
そいつの目が雄真をとらえる
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