第19話
フェンリルの塒は、とても大きな樹の根元だった
塒には柔らかい緑が絨毯の様に敷き詰められており、樹がちょうどそこを雨風から護る様に出来ていた
「………おっきな樹……」
そう小さく呟き、樹に触れる雄真
その呟きに応えたのはフェンリル
「…それは世界樹といわれるものだ
我はそれを護っている」
「…そうなんだ…
ルーって凄いんだね…!」
素直に思った感想を述べると、フェンリルの尻尾が左右に揺れた
「……別に、さほど難しくなどないのだ…」
フェンリルは、 さほど難しくはない と言ってはいるが、実はとても凄い事である
世界樹とは、その名の通りその世界の象徴などを表した樹である
この世界樹が枯れたり焼けたりと、亡くなったときは、世界滅亡のときであり
世界樹が葉をいっぱいつけ、緑が生い茂っているときはまだ発展途上で平和な世界である
その世界樹がウン億年に一度、1つだけつける実があるという
その実を食べると、不老不死になるだとかで欲深い人間がよく探しに来るのだ
それを追い払い、世界樹やその実を護るのがフェンリルに課せられた使命でもあるのだ
…まぁ、こんな所まで来れるのは本の一握りの者達だけなのだが、ここまで来れると言うのはそれだけ強いと言う事でもある
やはり、フェンリルの使命は凄いものであった
「………でも、僕はルー凄いと思うな……
だって、ルーが皆に信頼されているから、安心してルーにこの仕事? を任せたんじゃないのかなぁ?」
にっこり笑顔で雄真がそう言うと、フェンリルは目を見張った
そういう考え方はした事が彼にはなかったのだ
だから、フェンリルはこの時初めて己れの使命を誇らしく、嬉しく思った
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