第17話
「………友達……?
………フッ、やはりお主は面白いな、雄真」
おうむ返しに 友達 という言葉を繰り返したかと思うと突然笑い出し、そんな事を宣ったフェンリル
雄真は何故そんな風に言われたのか分からずに困惑する
「ぅえぇ?
僕、面白い事なんて言ってないよ?」
頭上に沢山のクエスチョンマークを飛ばしながら言った雄真に、フェンリルは笑みを深くした
「何故可笑しいかなんて、お主は知らなくて良い
……いや、寧ろ(ムシロ)知らないでいて欲しいな…」
最後は呟く様に、ポロリと溢れたフェンリルの言葉
雄真は意味が解らず、首を傾げるとフェンリルはまた笑った
その何故か生暖かい瞳が気に食わず、思わずぷうっと頬を膨らませる
だが、フェンリルにはそれが面白かったようだ
また笑われてしまった
雄真は少しムッとしたが、フェンリルにつられて一緒に笑った
と、そこで雄真はまだフェンリルから答えを聞いていないことを思い出した
「……ルーは僕と友達になってくれる…?」
首を傾げながらそうフェンリルに尋ねる
一瞬目を丸くしたフェンリルもどうやら忘れていた様だ
「…そうだったな
雄真がそう願うなら友になろう
我は雄真が気に入ったからな」
こと朗らかに言ったフェンリル
その応えに雄真は純粋に嬉しかった
「そっか……
えへへ、ありがとう」
ほんわかと笑った雄真に、フェンリルも嬉しそうに尻尾をゆらりと振った
ほんわかとした空気が流れたが、それを打ち壊したのはフェンリル
「そういえば、雄真は何処に帰るのだ?」
「……へ…?
………あ、そっか
僕のお家、ないんだった」
大事な事なのに、すっかり忘れてしまっていた
うーーん…… と、考え込む雄真に、フェンリルが1つ提案した
「………住まう場所がないのなら、今夜は我と共に寝てみらんか?」
「…んぅ?
どういう事?」
フェンリルの言っている意味が理解できずに、聞き返す
「……いや、住まう場所がないのなら、野宿になってしまうだろう?
野宿するのなら少しは温かい方が良いだろうから我とともに寝てはどうかと思ったのだ…」
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