第13話

「そうなんだ…」




何故か雄真自身にも分からなかったのだが、その声はどことなく沈んでる様に聞こえた


雄真はなんとなく考えてみたが、直ぐにその思考を放棄する


今は考えるよりも感じたかった


黙考するよりもルーと話したい


そう思い、雄真は唇を舐めて湿らせ、喉を震わす




「………ねぇ、ルー


僕ね、まだこの世界の事をほとんど知らないんだ


だから、

よかったら僕にこの世界の事を教えてくれないかなぁ?」




無意識に頬は緩まり少しの朱みを帯び、

小首を傾げて身長差(?)故に上目遣いに言葉を紡いだ雄真


それを見たフェンリルが密やかに息を呑んだ




「………っ


……うむ、良かろう………」




その返事に雄真は更に頬を緩ませて、笑顔で礼を言う




「ありがとう」




それから雄真はフェンリルに色々と教えて貰った


フェンリルは、雄真の言った この世界 という意味を、そのままの意味ではなく

この森の世界 と、いう意味で捉えている様だった


この森はどんな処なのか詳しく教えて貰ったり

いつもどんな事をしているのか聞かせて貰ったり

とても楽しい時間だった


漸く陽も傾き始めた所で、フェンリルが雄真に尋ねる




「…所で雄真、お主はまだ家とやらに帰らなくて良いのか?


雄真の魔力量では大丈夫なのかも知れんが、人の子がこんな時間までこの森に居るなど、危なかろう


それにそろそろ塒(ネグラ)に戻らねば親が心配するであろう?」




フェンリルの雄真を慮り(オモンパカリ)言った言葉に、何も言葉を返せなかった


それもそうだろう


この世界に雄真の家は愚か、家族は1人も居ないのだ


雄真はフェンリルに何と言えば良いのか、分からなかった

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