第12話
なるべく真面目顔を装っていた雄真を他所に、フェンリルは吹き出し、笑い始めた
「フッ……ハハハ
ユーマ…面白いな」
「む……
ユーマじゃない
僕の名前は雄真だ
ユ、ウ、マ」
雄真は一文字ずつ区切り、正しい発音を教える
すると、フェンリルが唸った
「…ううむ……
雄真、だな…
発音が難しい
そして珍しい名前だな」
いつの間にかフェンリルの警戒心はとけていたのか、ゆるりと近付いてきた
最初は3m程距離が空いていたので一応全体像がつかめていたが、
雄真との距離が1m弱くらい近くにフェンリルがきたので、今では顔と前足くらいしか見えない
いくらフェンリルが伏せの状態で顔の位置が下に近付いていても、雄真はフェンリルを見上げるのに精一杯だった
「…そんなに珍しい名前なの?」
素朴な疑問をぶつけてみる
日本では別に差し障りのない名前だし、雄真はBL以外の小説などなかなか読まない
それ故に、雄真にはこのファンタチックな異世界でどの様な名前が普通なのかなどを全くと言って良い程、何も知らない
そして、自称神様の変態さんに貰った知識で調べれば一発で分かるのだろうが、雄真はその事をすっかり失念していたのだ
まぁ、雄真はまだ認めていないが
他は少しでも雄真と喋った事のある人物なら彼はアホの子だと皆が認めるアホである
しょうがない事である←
「ん?
うむ、我は余り人とは関わり合わないからこの森や魔族の名前くらいしか分からんが、その独特な発音に音の組み合わせ……
我の知る中には雄真くらいなものだ」
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