第11話

何故か驚きながら、フェンリルは教えてくれた




「な……


………此処はその名の通り、強い魔物や神族(シンゾク)以外のものは生きてはおれぬ “死の森”


その “死の森” のこんな奥で平然としていられる人間などいないのだ


本当にお主は何者なのだ…?」




最後は訝しげに尋ねられた


フェンリルは “死の森の王” としか言わなかったが、実は神狼でもあるのだ


そのフェンリルにこんな風に警戒され、尋ねられるのは世界広しと言えどもきっと雄真くらいなものだろう


そのくらいに雄真の魔力の量は膨大で、異常なものなのだ


とは言っても雄真はそんな事全くこれっぽっちも、微塵たりとも解ってなどいないのだが……


とりあえず名前を教えて貰ったのに、こちらだけ名乗らないのは失礼なものだろう


そう思った雄真はフェンリルの目を見て、喉を震わせた




「…ぁ、僕は雄真


瀬戸 雄真


よろしくね? ルー」




フェンリルはキョトン と雄真を見返す


そのまま沈黙が続くかと思ったが、疑問符を頭上に浮かべながらおうむ返しに聞き返すフェンリル




「………ルー…?」




そのおうむ返しに一瞬キョトン とした雄真だったが、フェンリルの言いたい事に気が付き応える




「…ぁ、フェンリルじゃぁ、長いからルーって呼ぼうかなぁって!


ほら、愛称みたいな?」



ニコニコとつい頬が緩みがちになりながら、自分の答えに疑問符をつけながら応えると、フェンリルは目を大きく見張った


フェンリルのそんな反応に 頬が緩んでて気持ち悪かったかな? と、見当違いな反省した雄真は頬の緩みを抑えて真顔に徹する

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