第10話

そんな雄真に近付く影など、露知らず 薄い本を読み進める




「腐へへ……」


『……お主は何ものだ?』


「ぴゃう!!?」




知らない声に突然話し掛けられて、雄真の身体が可愛らしい奇声と共にピクンッ と揺れた


バッ と声のした方を見ると、毛が銀色で毛並の美しく、体長約5m程の “狼” がいた


それを見た後の雄真の反応は、………




「!!!


………か、カッコイイー!!!」




瞳をキラキラと輝かせながらそう叫んだ


普通雄真と同じ15歳くらいの子供なら、恐怖に身体が竦んでただただ震えているか、

この世界の住人でもほんの一部なら顔を恐怖に歪ませながらも魔法を打ってきたり、のどちらかだ


だが雄真のそれは、そのどちらでもなかった


今までも、恐怖に呑まれ叫んでいた者もいたが、雄真はまたそれとも違った


その事に “狼” は内心驚く


が、そんな事はおくびにも出さず言葉を紡ぐ




『……我はお主が何ものか訊いておるのだが…?』


「………ぉ、狼が喋った……!!」


『!


我を狼などと一緒にするではない!!


我はこの “死の森” の王、フェンリルぞ!!』




フェンリルの咆哮で空気がビリビリと震える




「………えーっと、 “死の森” って……?」




とりあえず気になった事を訊く雄真


とてもマイペースである

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