第9話
「………えーっと……薄い本………薄い本…」
そうブツブツと呟きながら手をさ迷わせる
このガルシアの世界には全ての人がもつ “無” の属性がある
ほんの少しの魔力とちょっとのコントロール力だけさえがあれば使える属性だ
因みに、攻撃や防御などの戦闘行為は出来ないが、私生活で使う分には充分使える属性だ
その “無” 属性の中に ボックス という魔法がある
それには色んなものを(人間や動物などの生き物以外)ほぼ際限なく入れられる
その ボックス を雄真は探していたのだ
左手が腰の近くを探っていると何もない空間に手が入り込んだ
「…あ、あった……」
その空間が ボックス であり、雄真はその中を漁って(アサッテ)本を何冊か取り出した
手に取ったそれを見て雄真は興奮する
「腐ぉぉぃっ!
新しい薄い本だぁーっ」
最後には音符マークがついていた
物凄いテンションの上がり方だ
上にある薄い本を1冊手にとり、表紙を捲る
するとそこには目眩く(メクルメク)男と男の恋愛、つまりは腐の世界、BLが描かれていた
それだけで雄真のテンションは更に上がり、此処が何処で、自分が今どんな状況なのかなど、何もかも忘れて本に夢中になり、読み進める
その際に雄真の口から 「腐腐腐腐腐」 や 「腐へへへへ」 など、些か以上に気持ち悪い声を発していたのは知らないフリ←
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