第50話

奏《あぁ…


体調が芳しくないなら良いんだけど、久しぶりにデートしたいなって思って……》




デート


その何気ないだろう一言に、充は全ての刻が止まったかの様に固まった




充《ぁ………》




たっぷり数十秒程経ってから、やっと出たものは、小さな掠れた呻き声みたいなもの




奏《…千亜?》




恐る恐るといった体でその名を呼ぶ奏くんの声にハッとなり、慌てて返事をする




充《ぁ、えと………ゴメン…》




数秒考えて出た答えはNO


どうしても、今は会う気分にはなれなかった

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