第43話

そもそも、だ


奏くんが好きなのは、“オレ”じゃない


オレなんかじゃなくて、“千亜”ちゃんなのだ


ただ今充が奏くんと “恋人”で居られるのは、充が“千亜ちゃんの代わり”だからだ…




奏《千亜だけのせいじゃないよ


俺こそゴメンね


千亜に会いたいけど、行けないから…》




悲しそうな奏くんの声が充の耳をくすぐる


電話は好きだ


相手が耳元で囁いてくれている気がして…


でも、電話は嫌いだ…


相手の顔が見えないから




でも、今だけは


それが救いだった




今のオレはきっと酷い顔をしているだろうから




充《ん…


そんな事ないよ…っ


ゴメンね…


今日はちょっと疲れちゃったから、電話切って良い?》


奏《…うん…


じゃぁ、切るね…


おやすみ…》


充《おやすみ…っ》

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る