幻のカード

口羽龍

幻のカード

 勇太(ゆうた)は帰り道、緊張していた。ここ最近、気になっている事がある。トレーディングカードの事だ。今、勇太が集めているトレーディングカードに、幻のカードがあるという話だ。噂によると、それを手に入れると、すごい事が起こるらしい。それは楽しみだ。ぜひ購入してみたいな。


 勇太はトレーディングカードの専門店にやって来た。トレーディングカードの専門店には何人かの客がいる。勇太はそわそわしていた。彼らの中に、その幻のカードを買って、売り切れにならないだろうか?


「いらっしゃいませ」


 勇太は専門店に入った。中にはトレーディングカードがたくさんある。だが、目的は幻のカード、『キングドラゴン』だ。今日は入荷しているかな? もし入荷しているなら、購入しなければ。明日、それをみんなに見せびらかすんだ。勇太はにやにやしている。


 勇太は陳列されているトレーディングカードを見ている。だが、お目当てのカードはなかなか見つからない。どこにあるんだろう。なかなか見つからない。もう見つからないんじゃないかと思った時もあったが、絶対に見つかると思って、毎日行っている。


 10分回っていると、問題のカードを見つけた。そのカードは黄金に輝いている。ネットで見たのと一緒だ。まさか、ここにあるとは。


「おっ、これが!」


 勇太はそのカードを手に取った。勇太はそのカードを見て、にやにやしていた。


「やったー!」


 勇太はカードを高く掲げた。とても嬉しい。中にはその様子を見ている人もいるが、まったく気にしない。とっても嬉しいから。


 勇太は会計を済ませ、自宅に向かっていた。その間も、興奮が止まらない。やっと幻のカードを手に入れたからだ。


「買ったぞ買ったぞ!」


 と、勇太は誰かが後ろにいるような気がした。まさか、誘拐犯だろうか? それとも、友達だろうか?


「ん?」


 勇太は振り向いた。だが、誰もいない。おかしいな。誰かがいるような気がしたんだけど。


「誰もいないか」


 勇太は首をかしげた。まさか、このカードを狙っている人だろうか? だとすると、早く帰らないと。


「さて、帰ろうか」


 勇太は前を向いて歩きだした。今日は早く帰ろう。あまりにも遅れたら、母が心配するから。


 突然、勇太はまたもや誰かがいるような気がした。だが、やはり誰もいない。怖いから早く帰ろう。


「やっぱりいないか」


 勇太は家の前に帰ってきた。いろいろあったけど、いつも通り帰ってきた。早く帰って、そのカードを開封しよう。


「帰ってきた」


 勇太は門から家に入った。玄関まで行くまでの道でも、勇太は興奮していた。


「とはいえ、やったぞやったぞ」


 勇太は玄関を開け、家に入った。中からは、いいにおいがする。母がカレーを作っているのだろう。


「ただいまー」

「おかえりー」


 勇太はすぐに2階に向かった。今日は疲れた。少し休もう。


 勇太は2階の自分の部屋にやって来た。中は机、ベッドの他に、本棚がある。壁には、プロ野球選手のポスターが飾ってある。


「さて、ちょっと寝るか」


 勇太は夕飯まで、少し寝る事にした。




 勇太は目を覚ました。だが、そこは荒野だ。夢だと確信してるけど、どうしてこんな夢なんだろう。今までこんな夢を見た事がない。


「ギャオー!」


 勇太は驚いた。「ここは、どこだろう」と言ったつもりが、ドラゴンのような声が出てしまった。まさか、自分がドラゴンになる夢だろうか? まさか、こんな夢を見るとは。


「グルルル・・・」


 勇太は目を覚ました。そこには、元の自分がいる。


「ゆ、夢か・・・」


 やっぱり夢だったようだ。やはり気になる。まさか、幻のカードを買ったからこんな夢を見たんだろうか? カードを買うだけど、こんな夢を見るとは。


 ふと、勇太は横を見た。誰かが横で見ているような気がしたのだ。だが、そこには誰もいない。


「え? 誰もいないか」


 勇太は首をかしげた。幻のカードを買ってから、不思議な事が起こってばかりだ。誰かがいるような気がしても、誰もいないのだ。


「あのカードを買ってからだけど、何だろう」


 勇太は立ち上がり、外を見た。だが、そこには誰もいない。誰かが遠くから見ているわけでもない。


「わからないなー」


 勇太は再び横になり、目を閉じた。勇太はまたもやそのドラゴンになる夢を見た。勇太は手を見た。そのドラゴンは、キングドラゴンそっくりだ。


「グルルル?」


 またもやドラゴンの声が出た。夢だとわかっているのに、驚いてしまう。


 勇太は荒野を歩いた。周りにいる動物は驚いている。自分がドラゴンの姿になっているからだろう。勇太は自信気に歩いていた。


 勇太はすぐに目を覚ました。もう夕方だ。そろそろ勉強をしよう。もうすぐ定期テストだ。頑張らなければ。


「グルルル?」


 今さっきの声を聞いて、まさかと思って勇太は手を見た。勇太は驚いた。なんと、キングドラゴンの手だ。まさか、自分が夢だけじゃなくて、現実でもそうなってしまったのか?


「ギャオー!」


 またドラゴンの声が出てしまった。なんと、勇太はドラゴンになってしまった。


 それ以来、勇太を見た者はいないという。噂によると、幻のカード『キングドラゴン』を買った人は、その日に姿を消してしまうという。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

幻のカード 口羽龍 @ryo_kuchiba

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ

参加中のコンテスト・自主企画

同じコレクションの次の小説