第46話
何を言えば良いのだろうか?
不安に潰れそうな少女に……。
彼女は、無理矢理に作った笑顔を僕に見せると、
「お帰りなさい、ショーリー」
そう言って、その場に立ち尽くしたままだった。
少し強い風が吹いて、銀糸の様な髪が風に揺れる。
「ただいま、フレイ」彼女を見る時、いつも自分はどんな顔をしているのだろう。
彼女は、ゆっくりと近づいて、そっと僕の手を取る。
「ショーリーがカッテくれて、ホントウにウレシイです」手の平を頬に持っていくとフレイは目を瞑って祈る様に言った。
「無事に帰って来てくれたのが本当に嬉しい」
彼女の温かい頬の温もりを感じながら、逆に急に違う人物になってしまったのでは無いのかと、不安になる。
「フレイ……フレイ・ハッキネン。君は……貴方は何者なの?」
聞いてはいけない事と知りつつも、つい、疑問が出てしまう。
「いつか、話せる時が来たら……話せたら良いな」
彼女は、僕の手を頬に当てたまま、そう呟く。
「ショーリーの手はアタタカイです」夢の時間が過ぎた様にフレイの口調は元に戻る。
「いつか……か」「いつかです」「その日まで、僕が護るよ……」「いつも、オモウです。ワタシはマモラレルツライです」「どうして?」「ワタシは……ゴメンはなせない」「それでもだ……それでもお前を護るよフレイ」
フレイの頬に一筋の雫が伝わる。
「ショーリー、アナタと……いつまでもいたいです。バットそのタイムは、きっと……」
「それも話せないのかい?お姫様」
僕の言葉にフレイは悲しそうにうなづく。
僕は、そっとフレイから手を離す。フレイが寂しそうな顔をした。
離した手のひらは腰の九ミリ拳銃を抜き取って、拳銃のセーフティを外す。
周りから、「おいっ!!」「ちょっと!!」と言う声と共に「待て!!」と言う理さんの声がする。
僕は拳銃を一度フレイに向けクルッと銃口を回転させて僕の方へ向けて、その銃をフレイに渡そうとする。
「
「フレイ……」僕は銃を持ったフレイの手を僕の胸の位置に銃口を心臓の位置に当てると言った。
「僕は、この命尽きるまで君の事を護ろう」
そっと片膝をついて、頭を伏せる。
「何があっても君を護ろう」
「ショーリー……」
「もし、それが信じられないなら……今、その引き金を引けば良い」
「ショーリー……あぁショーリー……」彼女は、目から涙を溢れさせると、銃のグリップに小さなキスをして、僕に渡した。
「信じます……何があっても、私のKnight私のPrince」
遠くから、「こいつ天性の女タラシだな」と言う声が聞こえたが無視をした。
「これが僕の誓いだ」
僕は銃を腰のホルダーに仕舞う。
もちろんセーフティはちゃんとしてね。
立ち上がろうとする時、フレイの両手の平が僕の両頬に触れる。
ん?と思った瞬間に、唇に温かい物を感じる。
「I promise to 貴方の全てを信じる事を誓います」
その温かい温もりが、そっと離れていき……。
「マイ ショーリー……」そう言って、イタズラに成功した子供の様に小さく舌を出して笑った。
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