第39話
「本当……やり過ぎだろう!?」
倒壊するビル、凄まじい噴煙、爆散するハンドアックスによって、崩されたビルから逃げ出そうとするピンクのエヴァー・ライズカスタム。
それを追撃する道力の二式改!!ソードオフショットガンの高火力によって弾幕を作り、隙を作ろうとするが、チャッピーでそれを防ぎ、それをさせない。
『やるね!!面白くなって来たよ!!』
『ユメも……だよ』
コクピットの道力が喜んでいるのがまざまざと浮かぶ。今、手助けしたら怒るだろうな?
そんな躊躇を、僕ならともかく雄二はしない。
的確に援護しながら、ピンクのエヴァー・ライズを追い詰めていく。
『ユージ、邪魔するな!!』『嫌だ』
「道力手伝うぞ!!エルフ!!アサルトライフル!!」
六花零式が上空にハンドガンとコンバットダガーを投げると背中の左右の花の蕾が宙に浮かぶ。
右の蕾がダガーを拾い、左の蕾が器用にハンドガンを拾って、アサルトライフルを零式の手のひらの上に落とす。
全て、制御された動きだ。
エルフは、レフト・フライング・ウェポンラックの略。
つまりは浮遊する武器庫(左側)だ。
そして、アルフは右側の武器庫。
全てAIによって制御されていて、受け渡しのタイミングや弾込め等も管理している。
「そこっ!!」アサルトライフルで胸を狙うと、
『男は、皆胸が好きだね!!』
「知るかよ!!」放たれたライフル弾はワイヤーショットを破壊する。
『クッエロいね!!』機内で思わず胸を隠すフラワー少尉。
「勝利……エロい」道力うるさいっ!!
何とか地上に降り立ったエヴァー・ライズはショットガンを放ちながら、必死に走る。
「よし!!囲い込め!!」普通の戦闘ならば、降伏勧告でもする所なのだろうが、今回の場合、相手はギリギリまで待つだろう。
道力は空いた手に壊れたハンドアックスを持ち直し、敵に近付いていく。
壊れたハンドアックスは最早、棍棒だ。
「道力、損傷は大丈夫なのか!?無理はするなよ!!」
道力の二式改も、倒壊の煽りを受けて、ボロボロになっている。もうオーバーヒート寸前だ。
『大丈夫……だよ』
追い詰められた敵は何をするかは分からない。
「全員、最後まで気を抜くな!!」
『
「取り敢えず、降伏勧告をするけど?」ジリジリと僕と道力でエヴァー・ライズを追い詰め、雄二が後方からスナイパーライフルで狙っている』
『……フン、私はここ迄かな?』おや?意外にアッサリとだな?
「それは、降伏勧告と見るけど良いんだな?」ふぅ、やっと一息つける。
残りは、アメリディア野郎だけか!?
『頼むから、当てないでよ、Jr』何を?気になる言葉をヴィクトリア少尉から聞き、問い返そうとしたその時、
『エヘヘ、勝利!!今度こそ、褒めて!!褒め……エッ?』
ゆっくり、コチラに向かって歩き出したボロボロの綾波二式改が何かに気付き!急に僕に向かって走り出し、体当たりしてくる!!
『チャッピー!!勝利を守って!!』
「なっ!?」
それは閃光だった……。
激しい光とバリバリという音、そして、衝撃!!
何だ?今のは?光線?いやアニメやマンガで見たようなビーム?いや、そんな事より道力!?
今アイツ、僕を庇って!!
ヒドく焦げ臭い匂いが、これが現実なのだと実感させる。
廃墟の瓦礫が眼の前の綾波二式改は右半分が吹き飛んでいた……。
「何だよ、これ?」まるで全てを消し去ったかの様に、何も無い世界……一体、何をどうすればこんな風に……。
そして、その何も無い世界から青い塊が現れた。
一歩、一歩が重く、ゆっくりとその巨大な戦人は歩いてくる。
「ドゥナルドJr!!」
『Jr!!聞いてないよ、こんな威力……こんなの戦いじゃ……無い』ヴィクトリア少尉からの震える声、彼女も予想外だったのか?
ゆっくりと近づくドゥナルド
右肩に巨大な大砲を持ち、その大砲はバチバチと火花を散らしている。
『これこそが
荷電粒子砲!!そんなもの実現していたのか!!いや……。
「そんな事よりも、道力は!!」
バイタルチェックモニターに、ユメのバイタルサインが映し出される。
……動いている?動いているのか!?
だが、返事が無い所を見ると、意識は無い様だ。
落ち着け、何が今、一番重要なのか?何をしなければならないか?
「雄二!!道力を連れてここより離脱!!」
『了解!!でも、隊長は!?』
「僕には、やらなければならない事がある」
『隊長、しかし!!』僕はあえて雄二の声を無視する。こうしている内にも、道力の体はキツくなって行くのだ。
『ユメ!!気をしっかりしろ!!隊長!!マズイ、これは!!何とか、何とかしないとユメが!!』
いつも冷静な雄二の慌てる声が、この状況を表している。
「ドゥナルド・ポーカーJr少佐」
『何かな?六花少尉』ドゥナルドJrの妙に冷静な声に苛立ちを覚えつつ、
「私の小隊から負傷者が出てしまった様です。事態は一刻を争う。我が隊の者に連れて行かせます。宜しいでしょうか?」
怪我をさせた本人に確認取るのもバカバカしいがユメの体が心配だ。
『それは心配だね。私は構わないが、一度フィールドを出てしまった者は、戻って来る事は出来ないよ?それでも良いかい?』多分、通信越しの奴の顔は、さぞ嬉しそうだろうな……。
『てめぇ!!そんな事ドコにも書いて無いだろう!!ふざけるな!!』雄二の怒声が響く
『アハハ、冗談だよ、モチロンじょうだ……』冗談のつもりだったのだろう。笑いながら、ドゥナルドJrが訂正しようとするとが、
「いえ、それで結構です」
雄二には悪いけど、それで良い、決着をつけてやる。
『隊長!!』
「雄二……ユメを頼むよ……」
『あんな化物みたいな戦人相手に!!』
雄二の言葉を無視して、一度、戦人から降りて備え付けの毛布で道力を包む。どうやら外傷は無さそうだ。一緒に降りてきた雄二共々、少しホッとする。
外の風は、焦げ臭くて、それでも開放感があって、複雑な匂いがした。
「おい、本当に一人で?」道力の金髪を優しく撫でていると、雄二がレシーバーを外して悔しそうに僕の方に軽くパンチをした。
「雄二には悪いけど、アイツは僕がブチのめす」
「化物だぞ?」
「分かってる。ユメの事頼むよ」
「しょうがないから、隊長の代わりに、お目覚めのキスでもしとくよ」
「気を付けろよ、ユメにぶん殴られない様にな」
「殴ってくれるなら、その方が良いよ」道力の事を心配そうに見る雄二。
「なぁ勝利……アイツは、やってはいけない事をした」雄二の言葉に僕は返す、
「僕らに喧嘩を売った」
ペキリと指を鳴らす。
「誰に喧嘩を売ったか教えてやれよ」本当に頭に来た時に、戦えない雄二と道力の心は持っていく。
僕は近づいてくる、
「第六小隊は……六花零式は無敵だ」
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