第38話
「カタブツ!!使えないね!!」私が狙撃する時間すら作れずに崩れるなんて、なんて使えない奴!!
私は、ハイビスカスで飾られたコクピットの中で、役に立たない筋肉ダルマの顔を思い出す。
あれだけ、日本人に負ける訳は無いとか、あのチビスケどもに本物の戦士の力を見せてやるとか言っていた癖に!!
後で、散々罵倒してやろう。
それにしても、相手の狙撃手、良い腕してるわ!!
まるで、私の頭の中が読み取られているみたい。
きっと、渋い良い男ね……。
この試合が終わったら、ディナー誘って見ようかしら?
あらやだ、これじゃまるであの
結局、男はワガママなマザコンなのよ。いつだって、自分は偉いんだって自慢したいだけ、
でも私は、寝て待っている(狙撃)だけの女じゃ無いのよ!!
「見つけた!!」私は舌舐めずりして、標的を狙う。
私のエヴァー・ライズカスタムは基本は狙撃専用機だ。
地面に狙撃用のスナイパーライフルを固定して、ぶれない様にして狙い撃つ。
でもまぁ、撃てるのはどうせ二〜三発が限度だ。
あんなデカい固定砲台、狙われたら捨てるしかないじゃない?そうね、浮気を見つかった間男みたいにね。
だから、何時でも次の手を考えておくのよ!!
両手にソードオフショットガンを二丁持ち、自慢の胸からワイヤーショットを打ち出し蜘蛛の糸の様にして飛び回る。
そうっ!!あのカートゥーンのクモ男みたいにね!!
☆☆☆
『隊長ー!!ユメやったよ!!……褒めて、褒めてー!!』
「分かってる!!良くやったよ!!流石、自慢の隊員だ!!」
『褒めて!!褒めて!!』いつもに比べて妙にテンションの高い道力に、苦笑しつつ、マップを確認する。
まだ、ビーコンは発生されていない。
「道力、敵がいつ来るか分からない!!気をつけ……道力来るぞ!!」崩れる瓦礫に異変を感じ道力に警戒を促す!!
『褒めて!!褒めて!!ほめっ!?……危ない』崩れるがれきと共に、灰色のマントを纏ったエヴァー・ライズが空中より現れる。
マントの端からピンクの機体を覗かせつつ、両腕のショットガンを連射する。
ショットガンの殺人的な破壊力は、綾波二式改の背後の瓦礫と一緒にその左腕を根こそぎ持っていく。
コクピットに実弾は使ってはいけないというルールではあるものの、あれはやり過ぎだ!!
「ヴィクトリア少尉!!今のは、規定違反だ!!」
『悪いねボーイ!!そちらも腕利きなら、これ位、避けられるだろう?』オープンチャンネルからの声に、
「ふざけるな!!命を何だと思ってる!!」右手のハンドガンを連射する。
弾丸は
『命?Life?そんなものは引き金をひくだけで、刃物で刺すだけで、運が悪いだけで簡単に消えるものさ!!私がやっていたのは、戦争なんだよ!!』いつの間にか、廃ビルの屋上に立つピンクのエヴァー・ライズカスタム。
「いつの間に!?」
マズイ、高所からのショットガンなんて、狙い放題じゃないか!?
「避けろ、道力!!」
エヴァー・ライズのショットガンが道力の二式改をズタボロにしていく。
機動ドローンシールド、チャッピーは!?
「なんで、こいつは僕の所に!?馬鹿野郎!!自分を守れよ!!」
こいつは、道力は事もあろうか、機動盾を僕の戦人を守る為の盾にしたのだ。
『自分を犠牲にしてかい!?ふざけるんじゃ無いよ!!』その行動が気に触ったのか、エヴァー・ライズの攻撃は道力を集中する。
『いい気分が台無し……だよ』
サブマシンガンを投げ捨てた二式改は、腰から、赤いハンドアックスを掴むとそのまま、ビルの上の敵に向けて投げる!!
瓦礫と硝煙の中より飛来したハンドアックスが宙を舞い、エヴァー・ライズの足元に刺さる!!
『あらやだ、その程度の腕じゃ、さっきの攻撃は厳しかったかしら?ゴメンね!!』
通信のヴィクトリア少尉の高笑いが耳に響く。
『うっさい、失敗じゃないよ』道力の声が響く。
その途端に、ハンドアックスがビル諸共爆散する!!
赤い色のハンドアックスは、グレネードハンドアックスと名付けられていて。別名、レッドトマホーク、投てきと同時に爆発する爆弾型の手投げ斧だ。
『なっ!?』崩れる足元に慌てるヴィクトリア少尉!!
胸のワイヤーショットを使い、他の建物に飛び移ろうとするが瓦礫に巻き込まれ、こちらも左腕が引きちぎられる。何とか、飛び移るが、自慢のピンクのボディが傷だらけだ。
『コイツッ!!なっ、なんて事するの!!』
オープンチャンネルにフラワー・ヴィクトリア少尉の声が響く!!
『やり過ぎたみたい……ゴメンね?』
ウチの紅一点は、やられたら何十倍にもしてやり返すタチらしい。
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