第37話
可変機動式ドローンシールドか!!色々設定されているのは分かっていたけど、まるでワンオフ並みの改良じゃないか?
まぁチャッピーは置いておいて……。
それにしても、不意を突かれたと言え、敵のエヴァー・ライズ、恐ろしい瞬発力だな?道力の動きについて行くとは……。
僕は六花零式を廃墟の瓦礫の影に避難し、戦闘の準備をする。
取り敢えず、アサルトライフルで良いか?いや、乱戦になっているし……。
前方では、道力が敵の戦人と激しい接近戦を繰り広げている。
あんな所へ、長柄を持って何をするつもりだ。
「アルフ、エルフ!!standby close combat!!(接近戦準備)」
『Get ready All right』
背中の花の蕾型のユニットから一片の花弁が開き、コンバットダガーとハンドガンが現れる。
アルフとエルフは武器格納庫でもあるのだ。
もちろん、それだけでは無いが。
シートベルトが肩に食い込み、零式のスピードの違いを身体で感じる。
この程度では無いんだろワンオフ!!
「道力!!」『……ユメ』「はっ?」『……何でも無い』
「何だよ!?今から、乱戦に介入する!!行くぞ!!三、二、一!!」
「『GO!!』」僕と道力の声が重なる。
エヴァー・ライズが近づいた零式に向かって、肩のキャノンを撃つ!!胸当たりを狙ってジャンプでも、しゃがんでも避けづらくする辺り、相手は手練れだ。綾波二式改が体当たりをして、銃身をずらす!!その隙に右に旋回してキャノンを避ける!!
「ナイスだ道力!!」『ユメ』「えっ?」『何でも無い』何だよ……。
「ここっ!!」体当たりで態勢を崩されたエヴァー・ライズの右肩のキャノンの砲身にコンバットダガーを当てて、そのまま押し切った!!
『もう一つ』二式改がハンドアックスで首ごとキャノンを刈り取ろうとする。その瞬間、二式改は後方へ大きく飛び下がる!!
二式改のいた後方の瓦礫が大きく吹き飛んでいた。
「道力!!無事か!?」『ユメ』「何だよ、さっきからいったい!!」『分からなきゃ……いい』さっきから何だって言うんだ、全く……。
『左肩アーマー破損、行動に影響無し……だよ』
「そっそうか……無理するなよ?」
その言葉が、道力の何かを傷付けたらしい、道力の口調が変わった。
『……無理するよ』「えっ?」『ユメは無理をするよ』「お前、何を?」『勝利のやらなきゃいけない事の為、勝利の夢の為、勝利のお姫様の為!!』
「動力……お前」
『ユメはお姫様じゃなくて良かった!!ナイトで良かった!!ユメは勝利の為の剣になるんだ!!』
綾波二式改がエヴァー・ライズに突っ込む!!
『このスピードは!?』
道力の綾波二式改には制御用のスラスターが通常の二式の倍付いている。
そのスラスターを使い、通常の二式よりも複雑な動きを可能としている。
肩のスラスターで無理矢理に二式改の上体を下げ敵のトンファーを躱す!!ふくらはぎのスラスターを使って、相手に足払いをする!!
その激しい動きに『おのれ、なんだその馬鹿げた動きは!!まるで狂っている!!動きに……ついて……行けぬ!!』綾波二式の激しい動きに翻弄されて、体勢が崩されていく……。
『ガッテム!!私が日本人なんかに負けてたまるか!!』崩れる姿勢の中、敵の戦人は無理に右手のサブマシンガンを乱射する。
いや、乱射しようとして右腕は、投げられたハンドアックスによって断ち切られトカゲの尻尾の様にバタンバタンと暴れ数秒後止まった。
『ユメ!!八時の方向、チャッピー!!』突然の雄二からの通信に道力は一言、
『ユージ……あり』赤い可変機動式ドローンシールド、チャッピーを二式改から見て時計の八時の方向に動かす。
それと同時に、赤い盾チャッピーが吹き飛びそうな位の衝撃が盾を襲う。
『狙うなら、ここだと思ってたぜ!!』静かに身を隠していた雄二の二式改が銃撃の先を狙う!!
『良し、銃器破壊!!』どうやら、敵のスナイパーのライフルを破壊した様だ。
『終わり……だよ』倒れた敵の戦人に道力は右手のサブマシンガンを撃つ。
モニターにエヴァー・ライズの機能停止の表示がついた。
『この俺が日本人なんかに……』カタブツの声がオープンチャンネルに響く。
『ユメ、ハーフ……だよ』
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