第35話

「バランサーOK、火器制御システムオールグリーン」

「アルフ、エルフ準備は良いか?」


『Get ready All right』機械音声がアナウンスする。これが六花零式に搭載されているシステムAIだ。彼らが六花零式の核になる。

「よし、良いな?」

 オープンチャンネルを開放する。

「雄二、道力、準備は良いな?」


了解ヤー!!』

 シグナルが光ってシークレットチャンネルが届いた事を告げる。


「どうした雄二?」戦闘前に珍しいなと思いつつ、雄二からのチャンネルを開く。


『どうしたじゃないですよ、道力が拗ねてます。後でフォローを頼みますよ』ため息一つ、雄二からの声に、つい、

「えっ何で?」


『えっ何で?じゃないっすよ!!』少しキレ気味に話す雄二。

『気づかないっすか!?』「えっ?」


『ハァ〜、僕が君を必ず守る。だから僕を信じろでしたっけ?』


「グワッ!!えっ?お前!!」


『大切な君を守らせて欲しい……でしたっけ?』


「ウォ!!雄二お前!!」


『まぁ、気付いていたのは、うちの隊だけっすけど、少し自重してもらっても?』


 素直にスマンと謝りつつも、つい聞いてしまう。


「あのぅ……道力は?」


『思いっきり拗ねてましたが何か?』


『一応、フォローはしときましたけど……無自覚たらしは勘弁して下さいよ?』


「無自覚たらしって……」


『うっせぇ、黙れ童貞』


「おまいう!?」


『うっせぇ、俺じゃ駄目なんだよ……』最後の雄二の言葉は良く聞こえない。きっと聞こえない方が良いのだろう。「フォロー、フォローねぇ……」チャンネルを道力に合わせる。


「道力!!今日は頼むぞ!!」

『気分……乗らない』あのなぁ、


「お前なぁ……よしっ!!」


「活躍したら、好きな物買ってやる!!」


『別にいらない』……う〜ん、取り付く島もないな。


「じゃあ、何でも一つ言う事聞いてやるなんて……」『勝利!!』「はっはい!!」


『本当……だね?言質取った!!』へっ?


『ユージ、聞いてたね!!』『あ……どうだったかな……』『!!』


『あっはい……聞いてました!!録音もしてあります!!』ゆうじ〜!!


「あんまり、変なのは勘弁してくれよ~!!」僕も迂闊だったけど、道力の迫力が少し怖い。


『変な事なんてしない。大事に使う……大事に大事に使う』エヘヘへへと道力の笑い声が聞こえる。


「そっか……なら良いけど……」嬉しそうな道力の声に、まぁ良いか?と頭を掻く。


 その頃、別のコクピットでは、「チェッ、一撃だもんな……参るわ」そんな言葉を吐き捨てていた奴がいる事なんて何も知らずに……。


 六花零式や綾波二式に比べ二つ位頭が出ているほど大きな重量級の戦人。隣に立つエヴァーライズカスタムが小さく見える位だ。


 青の機体に胸に大きな星条旗。半眼の鋭い目。コレこそが、アメリディア合衆国が誇るワンオフ、ドゥナルドIIIスリー


 原型である、ドゥナルドIIが跡形も無くなる位に改修改造されたトゥナルドJrのドゥナルドJrにおけるドゥナルドJrの為のワンオフ。


 コンセプトは強く大きく固く。


 今のアメリディアを象徴する様な戦人だと誇らしげにドゥナルドJrは言う。


「カタブツ・アンダーソン」


『ハッ!!』カタブツ・アンダーソン三十歳。


 ニューヨーク出身。ドゥナルドJrを、一回り大きくゴツくした様な外見の軍人。


 名前からも分かる様に日本かぶれの両親が付けたカタブツと言う名前のせいで学生時代に揶揄われ、それ以来日本嫌いに……ドゥナルドJrの忠実な部下として知られており、ドゥナルドJrに心酔している。


 見かけによらず、手先が器用。目下の悩みはコクピットが狭い事。


 愛機エヴァーライズ遊撃戦用カスタム。両肩にキャノン砲を二門持ち。右手にサブマシンガン左手にトンファーを装備している。


「フラワー・ヴィクトリア!!」


『ハァイJr!!』フラワー・ヴィクトリア二十五歳。ハワイ、オアフ島出身。ピンクで長い髪を染めている美しい黒人の女性。キレイな青い目をしている。


 ドゥナルドJrの愛人と噂されているが、定かでは無い。

 謎が多い女性で、経歴は不明な部分が多い。

 モデル並みのプロポーションをしていて、過去に女優やモデルをしていた事もあるという。


 愛機エヴァーライズフラワーカスタム。特性のスナイパーライフル以外の装備は不明となっている。


「二人共、アメリディアの為に生き、アメリディアの為に戦え!!」


『ハッ!!』



 そして、始まる戦いのステージは廃墟となった市街地。


「雄二、道力、フォーメーションはクロック。ロングハンド(長針)は雄二、ショートハンド(短針)は道力良いな?」



了解ヤー!!』


 そして、真砂さんの通信が入る。


『ご武運を祈ります!!第六小隊発信スタンバイ!!』


 そして、僕は心配そうに祈る、フレイの顔を思い浮かべる……。


「行くぞ!!第六小隊出撃!!」


了解ヤー!!』


























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