第25話

 騒動も一段落し、指令官である理さんを交えて、各小隊長とオペ科より上級事務官二名と真砂サキ事務官。うちの隊から雄二と道力の合わせて十数名が会議室に集まり、今後について話し合う事となった。


「つまりだ、敵の目的は、あのカプセルの少女だって事ですか?」


「その通りだ」第一小隊隊長の吾妻小隊長からの言葉に六花指令官は言葉少なく頷く。


「あー指令官、結局、何なんスカ?その子」その問い掛けには指令官は答えない。


 まぁ多分、答える権限が無い。


 お手上げだなと周りを見て吾妻小隊長は肩を竦めるが、他の小隊長も同様に方杖をついたり、鼻の下を擦ったり、どこか納得していない。


「多分、彼女を狙って敵軍は総攻撃をしてくるだろう」指令官の言葉に、数人の小隊長のため息がきこえた。


「単刀直入に言って下さい!!俺達は何をすれば良いのですか!?」


 第三小隊長の言葉に、立花指令官は答える。


「それは……」後ろのドアがトントンとノックされる音がする。


「来たか?入りたまえ」ドアが開き中に白衣を来た女性が入ってくる。


 彼女は、我が基地の軍医だ。確か名前は……。


入戸いりど入ります」そう入戸さんだ。保険医のお姉さんと言った感じで口には火の着いていないタバコを加えている。

「入戸君、口元のタバコは止めたまえ」「まぁ、火は着いてないんだし、堅苦しい事は言わない言わない」彼女は手をヒラヒラさせると続ける。


「彼女、覚醒しましたので連れて来ました」


「そう、良かった……」理さんは、フゥーとため息をつくと、

「中に入れて、あと入戸君、念の為ここで彼女の様子を見ながら待機」


「はーい」そう言って入戸軍医は一度、部屋を出ると誰かを連れて来る。


 まぁ、誰が来るのかは、流石に分かるけど……ついに彼女が来るのか?


 ドアを開け入戸軍医と入って来たのは銀髪の少女だった。


「ことわぁーりー!!こわかったー!!」思ったより流ちょうな日本語を話しながら銀髪の少女は理さんに抱きついた。彼女は理さんの知り合いらしい。


 不安そうな顔、寝ている時には見れなかったアメジストの瞳と長いまつ毛、陶磁器の様に白い肌。病的に白く細い腕。全てが守らなければと思いたくなく程可憐で美しい。


「コトワーリー?」不安そうに理さんの背中に隠れ、こちらを伺う。


「It's fine, don't worry about it.lady」大丈夫ですよお嬢さんと優しくニコリと笑いながら言うと、


 彼女は日本語で、

「優しい英語ですね?大丈夫、ワタシ日本語ペラペラですよ!!」可愛らしい声で少し自慢気に話す彼女に、僕は微笑んでしまう。


「おいおい早速、ナンパか?手が早いな第六」吾妻隊長の言葉に銀髪の彼女と道力や真砂さん以外、皆爆笑する。


「六花小隊長、不謹慎です……」「勝利は私の……だから」二人のムッとした顔に参ったなと頭を搔いていると、

「ショーリー?Oh!!コトワーリーの内縁の弟ですね!!」


「ギャハハ内縁って!?」更に爆笑する皆にキョトンとした彼女、そう言えば名前聞いて無いな。


「指令官、何とかして下さい!!」僕の言葉に、理さんも笑いながら、


「すまんすまん、悪かった内縁の弟よ」と言って皆を更に笑わせる。


 しばらくたって、やっと静かになった会議室で、


 六花指令官は、ゴホンと一つ咳払いをすると、話始める。


「改めて、六花理指令官だ。この度、第十三防衛隊の指令を務める事となった。よろしく頼む」


 指令官が敬礼すると、全員がその場で立ち敬礼する。


「なおれ、残念だが、諸君らに通達しなければならない事がある」


 その言葉に、会議室全体に空気張り詰める。


「今日一三〇〇ヒトサンマルマルを持って我らが基地を放棄し、全部隊を持って第七防衛基地へと移動、併合する事となる」


 









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