第23話

 作者より、世界情勢等の説明回になります。


 どうしても、理屈っぽい話になりますが、ご容赦下さい。


 ☆☆☆


 世界の番犬、日本。


 この一見、褒め言葉には聞こえない言葉は今の世界の情勢そして、この世界において、日本の立ち位置がどこにあるのか?なぜ、そう言われる様になったのか?を説明しなければ、ならない。


 まず、最初に言わなければならない事がある。


 今現在、世界はいや、地球は全ての上空一キロメートルを無色透明な気体に覆われている。


 その気体の名前は、とある名も知られぬ科学者がつけた名前。AFM。


 略式名はアフォムやエーエフエムと呼ばれ、正式名称はANTI FLYING MATERIAL(アンチ・フライング・マテリアル)。つまり直訳すれば反飛行物物質となる。


 その効果は世界をひっくり返す程だった。


 効果は単純だ。その気体に触れた浮力を持った物は、その浮力を失い墜落する。ただ、それだけ……。


 そして、その単純な力に世界はいくつもの物を失う事となった。


 一つは航空機による長距離輸送、一つは航空機等の航空軍事力、そして一つは長距離弾道ミサイル等の核ミサイル。


 とある、核ミサイルに固執していた国は数ヶ月後に大アジア帝国への併合という形で姿を消した。


 恒例となっていた弾道弾の実験を行った時、急に空中で制御を失ったミサイルが、視察に来ていたその国の王の観覧席に直撃……。


 その後は、指導者を失い核の優位性も失った国は、消えて行くしか無かった。


 このアフォムの発生は、EUのとある国で行われていたバイオ兵器による実験の失敗が理由だった。


 工場が爆発し、バイオ兵器が溢れ出す。偶然そこにいた日本の自衛隊が救助に向かったが、時遅く。溢れたバイオ兵器アフォムが無色透明な事も更に災いした。


 アフォムの増殖は止まらず数年後には世界全土を覆いつくす事となる……。


 数々の航空機事故、滞った輸入輸出により、世界恐慌に陥り、無数の死者を出す事となった。


 そんな中、アフォムの研究で成果を出した唯一の国があった。


 それが日本である。


 アフォムのワクチンを作り出し、暫定的ではあるが、ワクチンを特製の塗料と混ぜる事により、約一日の間であれば、航空機の飛行を可能としたのである。


 世界が、これで救われると思われたが、一つだけ、このワクチンには欠点があった。


 ワクチンの培養スピードが遅いのである。


 旅客機程度の大きさの航空機に塗る塗料分を培養するだけで、約一年かかると日本政府は発表した。


 そして、日本はそれを独占する。


 世界中から、非難の嵐が襲う中、もちろん、日本を占領しようとする国もあった。


 その北の国は、占領しようとした数週間後に日本からの空爆を受け、議事堂、大統領官邸を壊滅された。


 そして、日本は宣言する。アフォムは正義の為に使用すると。


 これをと言う。


 世界からは、日本番犬宣言だと嘲笑されたが……。


 EUは、全ては日本の自作自演と罵り、抗議した。


 バイオ兵器工場を攻撃し破壊したのも、研究者がのも全て日本の仕業だと、しかし、その証拠は無い。そして、実力行使を行う強気な国も最早、無かった。


 もちろん、領土問題や言い掛かりに近い様な、多少の侵略行為が無い訳では無かったが、侵略側も強く攻める事は出来ず大きな問題にはならなかった。


 それは、日本側のアフォムのワクチンの量も関係していて、全ての問題に、加入する訳にはいけなかったのだ。それが本当なのか、どうなのかはさて置いて……。


 こうして、日本は世界の番犬となった。





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