第22話
「来たか、第六!!」「よく来てくれた!!話は真砂のねぇーちゃんから聞いたぜ!!」「田子の野郎!!サキちゃんになんて事を!!ぶっ殺◯てやる!!」「そうだ!!ぶ◯殺す!!」
地下の基地倉庫に押し込まれていたのは全部で三十二名で、内女性は十二名。
僕が警戒しながら中に入ると、各小隊員が背中をバシバシ叩いて手荒い歓迎をしてくれた。
「皆さん、ご無事で!!」嬉しそうな僕の声に喜んだ皆は口々に現在の様子を聞きたがった。
大騒ぎだった倉庫の中も、それからの間、情報の交換会をすると、その悲惨な状況に段々と静かになっていく。
戦死者、戦人パイロット含め二十八名。基地は半壊レーダー設備も稼働率は二十パーセント。
「正直、もう基地としての機能は、ほとんど機能しない。田子の野郎やってくれたよ」
第一小隊隊長
「これから、どうしたら良いでしょうか……」誰に問い掛ける訳でも無く真砂さんが呟く。
「取り敢えず、田子を……」他のオペ科の女性隊員が言おうとするのを、
「おっと、それ以上は言わせない」他の隊員が、女性隊員の口を塞ぎ、それを止めると、憤慨した女性隊員が、
「何で、止めるんですか!?」塞がれた手を剥がし、怒りに任せて睨みつけている。
「悪いな、お嬢ちゃんアンタに、それを言わせちゃいけないんだよ」
それに、対して僕も頷く。
「これは、俺達が、実働部隊である俺達が言わなきゃいけない事なんだ」
女子隊員は、察した様に俯いて言う。
「言いたい事は分かりますけど、私達の仲間にも死傷者は出てます!!」
「私達じゃないだろ?俺達は皆の仲間だ」隊員は、辛そうな顔をして続ける。
「済まない、皆を守れなかったのは俺達残っていた部隊の責任だ。俺達は残っていながら何も出来なかった。本当に俺達が不甲斐ないせいで……なのに、君にまで……そんな言葉を言わせちゃいけないだろう!!」
握った拳は白くなる迄、強く握られて……。
シーンとした空気の中、何か励ます言葉を言おうと思うが、何を言っても今は、無意味な気がして……。
「それだけの気概があるのなら、大丈夫そうだな」
開いたままのドアから、長い黒髪の女性が現れる。
「理さん!!」僕は思わず叫ぶ。
理、今は、
戦争に巻き込まれた事により、戦人のパイロットとして戦う事となり、その戦果で名を馳せた第三次世界大戦の英雄。世界初のネームド機体のパイロット。EUでは
そして、僕の師匠であり、僕の兄貴の奥さん、つまり義理の姉。
色々、肩書が多い人だけど、強くも優しいを体現している人だ。
理さんは、敬礼をした。
「第十三防衛部隊の諸君に通達する!!」
その声は、凛として強い。
「今、現時点をもって、第十三防衛部長、指令官田子修を解任!!新指令官に私、立花理が就任する!!」
「エッ!?理さん、本当ですか!?」
理さんはニヤリと笑い、
「もちろんだ義弟!!さぁ、立て直すぞ!!世界の番犬、日本がこのまま、好き勝手されていては世界に舐められるぞ!!」
世界の番犬、日本。
この名前が世界の常識になるには、理由があった。
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