第13話
作者より注意です。
作品の都合上、乱暴なセリフを多用するシーンがあります。そう言ったセリフが苦手な方はご注意下さい。
✦✦✦
「
落ち着け……。怒りに飲まれた戦士の末路は知っているだろう。
「悪の御大将に名前を覚えて貰えたのは、光栄だな」話しながら、現在の状況を見る。
黒い戦人は、剛力達の後ろに隠れて仁王立ちか……。悪の親玉らしいじゃないか?
『悪の御大将ね。六花少尉、私は君に興味があるのだよ。軍学校を首席で卒業して、軍属。数々の武勲をあげる。先程の我軍との戦いも見せて貰った。正攻法、奇襲どちらも素晴らしい。どうだ、我が軍に入らんかね?』
いちいち偉そうな物言いにイラッとしつつ。
「過大なる評価ありがたく思う。だが、今の状況で仲間になりたいと思うバカはいると思うか?」
『どうだろうね?少なくとも、ここに一人いるが?』
「一体、何を……」僕の言葉を遮る様に、聞き覚えがある声がする。
『やぁ六花君、久方ぶりだね?』聞きたくも無かった声が聞こえる。こいつの、浅はかな行動で僕達が、どれだけ酷い目に合ってきたか。
「その声!?もしかしてお前!!」
『お前?目上の者に対する礼儀が相変わらず、なって無いな?六花勝利少尉』
間違い無い。その偉そうな態度、声。
「田子!!あんた生きてたのか!?」
日本軍第十三駐屯基地司令官、
『むっ?貴様、それを言うなら田子司令官様だろう?』イラッとした声が聞こえる。呼び方なんてどうでも良い。クソだろうが、死ねだろうが奴には上等過ぎる?
「なぜ、そこにいる!?他の皆は!?皆は生きているのか?」
『フンッ、知らねぇーよ、バーカ。生きている奴は生きているし、死んでる奴は死んでるだろ?』
「お前……それでも司令官なんだろう?」余りの物言いに僕は苛立ちを隠せなくなる。
『司令官ね、まぁそんなものはどうでも良いが……おぉ、そうだ、オペレーターの真砂は生きているぞ。さっきまで兄貴の死に様を見て大泣きしていたけどな。まぁ、アイツは後で慰めてやるさ……タップリな』
「田子、テメェ!!」その場にいたら、絶対に殴りつけていた。借りにも部下だった人達に、仮にも仲間だった人達に……何故、そこまで酷い事が言えるのだ?
『そろそろ、黙っていて貰っても良いかな?ミスター田子』ワンウェイの少し甲高い声が聞こえる。
『うぬぅ、これからが面白くなる所だったのだがなぁ』
悪役同士仲が良い事だ。田子もワンウェイの言う事は聞くらしい。
『ミスター田子は、今回の計画の立案者であり、協力者でね?』
「は?」思わず、間の抜けた声が出てしまった。
今、なんて言ったんだ?
『お陰でだいぶ楽をさせてもらったよ』
「田子貴様!!」何となく、今までの事が納得出来た。基地の場所や状況、作戦立案全部、このバカが動かしていたのか?
司令官の地位を使って、普通なら難解である筈の基地攻略が、容易く攻略出来てしまったのか?
『六花勝利、貴様が悪いのだよ、私が大アジア帝国と交わした約束をことごとく潰してくれたのだからな』奴はどんな顔をしているのだろうか?悔しがった顔をしているのだろうか?それとも、これから行われる筈の僕の処刑ショーを楽しみにしてほくそ笑んでいるのだろうか?
どうでも良い、本当にどうでも良い。ただ、沢山の仲間の死がこんな男のせいだったのか?と思うと、落ち着こうとしても、落ち着かない……怒りに支配されていく。
「田子修!!貴様は殺す!!」怒りに任せて、僕は戦人をおきあがらせた。
『やれるものなら、やってみろ!!お前はここで無様にここで、なぶり殺されるのだ!!』田子の嬉しそうな笑い声が響き、僕の怒りが頂点に達する。
その時だった。
『六花隊長!!』少し小さいが女性の声が聞こえた。
『私、真砂です!!まだ生きてます!!まだ生きている仲間もいます!!亡くなった人も多いけど……六花隊長!!皆の無念を兄さんの無念を……頼みます!!』
『黙れ、クソ女!!お前は、六花を嬲り殺した後に絶望の中で犯し殺してやる!!』田子が何かを蹴ったような音がして、ウッといううめき声がした。
「田子貴様!!」戦争がアイツをこんな性格に変えたのか、元々こんな性格だったのか分からない。
でも、落ち着いた。真砂さんの声に、まだ生存者がいるという事実に……。
綾波二式は立ち上がる。
僕は、復讐の為で無く、皆を助ける為に操縦桿を握る。
「システムオンライン接続、CP設定更新完了、オートバランサーチェック完了」操縦桿のコンソールから入力していく。
「モニターオン、よしチェック完了、駆動系ユニットチェック……よし完了」
チェックは全て完了だ。
「綾波二式、立花勝利少尉、出ます!!」
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