第9話
大アジア帝国が僕達の基地を奇襲?基地が半壊?
こちらの攻撃は囮?被害は?敵の数は?
第五小隊長の言葉に、一瞬頭が真っ白になる。
駄目だ!!
拳を何度も太ももに打ち付けて痛みで思考を覚醒させる。
落ち着け、ここから基地までの距離はどれ位かかる?
「敵の数は分かりますか?」
『不明だ、ただ残り七小隊が残っていたにもかかわらず、味方はもう半壊しているとの連絡をうけている、多分敵の数は相当の数がいるはずだ』
「こちらも急いで駆けつけます。第五、第七小隊はこちらよりも五キロ基地に近い。今すぐに救援に向かって下さい」
『しかし、我々が行った所で……』第七の小隊長の弱気な声に、割り込む様に第五からの声。
『第五、了解した。第六には悪いが先に行かせてもらう……第七さんよ!確かに行っても何も出来ないかもしれないが、行かなければ救えない命もあるはずだろ』第五の小隊長が淡々と話すがこの言葉に強い意志を感じる。
『それに、今度は敵がきているのに待機していろなんて、クソな命令じゃないんだ、さっきの分の借りも返させて貰うぜ……本当に仲間を見捨てる命令をされるとは思わなかったぜ』ゴンッと何かを叩いた様な音がする。
……拳痛めますよ?
『そう、だな……先程までの第六の戦いを見ていて怖気ずく様な奴は戦人に乗る資格なんて無いだろ』
『だな』二人の小隊長はスピーカー越しに笑い合っている。
僕も、何となく微笑んでしまうけど、そんな時間は残されていない。
「二人共、笑うのは戦いが終わった後にしましょう」戦人を起動させて動作チェックをする。
運動効率は、二度の戦闘のせいで下がっている。
騙し騙し使っていくしか無いか……。
『了解した、先に行く。俺も自分の技量は弁えているつもりだ。無理はするつもりは無い』
第五の小隊長のセリフ。
本当にそうである事を祈るばかりだ。
『同じく。戦力の差はあるからな。それでも仲間の救出や敵の情報を調べる位はしないとな。よし第七小隊、出発する』
心の中で、ご武運をと祈る。
いくら敵の数が多くても、無闇に突っ込まなければ簡単にヤラれる事は無いだろう。
それにしても気になる。我々の基地に残っていた戦人は二十一機。それが半数はやられているという事は、敵の数が我々を大幅に上回る数だったという事か?何かの策略か?
我々の知らない相手の戦力があるのか?
『隊長〜、何、見えない敵と戦ってるんすか?』雄二の声に、ハッと我を取り戻す。
『隊長はすぐにでも行きたいんでしょ?……全く勇者思考にも困ったものね』
勇者思考?道力の言葉に反論したかったけど、上手い反論が見つからない。
「勇者思考ってなんだよ?」不貞腐れた様に愚痴ると、
『何でも、自分で解決したいと思っている』雄二の声に道力が笑う。
『そうそう、自分が動けばなんとかなると思っている』道力がその言葉を引き継いだ。
「うるさい!!すぐに出る準備だ!!」まったく、隊長をバカにしやがって……当たってるから、何も言い返せないじゃないか!!
『そうしたいんですが……すぐに出られるのは申し訳無いですが、一機だけです』
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