第6話

「雄二残り一機は?」

 僕の戦人を背後から襲っていた敵の戦人、剛力は雄二からのライフル掃射で二機は背後からぶち抜かれていた。


 小隊は、通常戦人三機で行動する。


 残り一機は?


『心配無いですよ~あいつが嬉嬉として行きましたから』


 道力か?こういう時の奴は頼もし過ぎるな。


 あいつは手持ちのグレネードランチャーをもうすでに使い尽くしてアサルトライフルのアタッチメントを銃剣に変えている。


 強いな……。アイツが一対一で負けるのが想像出来ない。


『隊長、あのドローンのヤツ、ヤバいっね』ドローンのヤツ?あぁあれか?


 森林の中でドローンを飛ばし、ドローンから映像を飛ばして敵を撹乱させる。


 急に敵が現れた様に見えて、慌てふためいた所を殲滅する。ドローンからは、チャフ(電波を反射する物を空中に散布してレーダーを妨害する物)を散布してレーダーは妨害している。


 これも、電子機器に強い雄二がいるから成り立つ戦法だ。


 いきなり現れた沢山の敵に相手は大騒ぎした事だろう。


 ちなみに、ドローンを打ち壊すと爆雷となっていて相手に更に被害を与える事となっている。


 誰だよ、こんな鬼畜な作戦考えたのは?


『やっぱ、隊長だけは敵に回したく無いっすわ』


『隊長……鬼畜』


「うっさいわ!!」敵とうちの戦力と地形、ある道具なんでも使わないと死ぬのは、こっちなんだよ!!


 奇策は、所詮奇策なんだ。対応されたら使えない。


「左舷から来た敵は?」レーダーを確認しながら次の相手の行動を予測して、次の作戦を立てる。


 僕が相手なら、後退する。


 味方が一気に九機倒され相手は無傷、戦闘情報を持ち帰る。


 それが、僕なら最優先事項になる。敵は、只者ではないという所か?


 自分で言うのも過大評価だが。


 そういう噂が相手を慎重にさせる。そして、それを相手に考えさせるのがこちらの思惑だ。


 一番怖いのは、何も考えない物量作戦。作戦で補えない程の物量で責められるのが一番怖いのだ。


 あちらも被害が増えるがこちらも増える。


 そんなバカみたいな戦闘が死ぬ程嫌いだ。


 心の中で、逃げてくれと祈る。


 僕らの戦いは守る為の戦い。殺す為の戦いじゃない。


『ちっ、あいつらも司令官がバカ何じゃないか?』

 雄二から送られて来たデータに、心から賛同する。

 外で待機しているであろう敵の戦人が乗った揚陸艇が全て上陸ポイントから外れ、母国の方面に向かって行ったと情報が入ったと言うのだ。


 つまり、最後に残った一小隊は置き去りにされたと言う訳だ。


 左舷から来ていた小隊は、しばらく動かずにいる。


『どうします隊長?出来るならこれ以上は血は見たく無いんですけどね?』雄二は言葉と一緒に大きなため息をつく。


 しょうがないな。


「(以下広東語)悪いな、君達の仲間は君達を置き去りにしたらしい。こちらとしてこれ以上の損害を出したくは無い」三機の戦人に向け通信をする。


『我々も、戦いたくは無いのだかね』


『逃げた仲間を安全に逃がす為にここにいるんだよ』


「仲間の安全は保証するつもりだけど?」


『はっ、私達に大アジア帝国の裏切り物の日本人の言葉を信じろと?』


 駄目だなこれは、こちらも派手にやり過ぎたか?


「これ以上言っても無駄か?」


『大アジア帝国に栄光あれ!!』

『将軍様に栄光あれ!!』


 三機の剛力が起動を始める。


「仕方が無い、第六小隊。敵を殲滅する!!」


了解ヤー

 僕の大嫌いな無駄な戦いが始まろうとしていた。
















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