第3話
全高十五メートルの二足歩行ロボットが関節の軋み音を上げながら立ち上がる。
関節や駆動系も、ちゃんと動かしてチェックしないとな。
以前、メカニックにも裏切り者がいて、酷い目にあった事もある。
シークレットチャンネルに通信が入る。
このタイミングはきっと……。
『六花少尉!!あのバカ(司令官)は、五と七の隊長に小隊動くなの命令を出しています。後、メカニックの渡部さんがお金で買収されていた様ですが、怒って断っていた様です』オペ科の美少女、
「第六出るぞ!!大丈夫だ!」
『
「僕を信じろ!!」
『
コクピットが閉まる瞬間。メカニックがサムズアップする。
コクピットの中に柑橘系の匂いが充満する。
日本は消臭剤が優秀で助かる。
ここ一年の血と汗と嘔吐の匂いがキツめの消臭剤の匂いで殆どしない。
ここからが僕達の戦争だ。
奥歯をギリッと噛み締める。十五対三か、普通にやったら無理だろうな?
地形シークエンスを現状と照らし合わせながらざっと流す。
正直、自分達の力を過信してないか?という所が無い訳じゃ無いけど、それ以上にあの司令官に目にモノを見せる。
いや、目にモノを見せ続けて叩き壊す!!
もう五つの無茶な作戦をくぐり抜けて来たんだ。
僕も隊の皆も後戻りするつもりも無い。
巨大な鋼の塊を整備工場からゆっくり出すと、無茶な戦いに行かなければならない僕らの事を思ってだろうか?
他の隊員、整備員が僕らに向かって敬礼している。
目には死ぬなよと書いてある。
僕はコクピットの中、皆に敬礼を返し先に進む。
誰も好きで仲間を見殺しになんてしたく無いんだ。
一番隊隊長が敬礼をしながら大声を張り上げる。
「バックアップは任せろ!!国と基地と、そして君等の仲間は必ず守る!!」
無精髭の一番隊隊長の言葉にバカだな、誰が聞いてるのか分からないのに、と苦笑しつつ、
「ありがとう
その言葉に、工場内が爆笑する。
「言質取ったぞ!!絶対だからな」少し顔を赤らめながら笑う吾妻一番隊隊長。
心の中で、簡単だよ、あんた無精髭剃れば中々いい男だぜと言いながら僕達小隊は合流ポイントに向かう。
戦人の脚部には
操縦感覚としては四輪駆動車に近いのだろうか?
戦場では小回りを利かすために取り外さなければなからないが、最大八十キロのスピードを上手く使えれば良いのだけど……。
綾波二式の脚部ユニットでは軟過ぎるんだよな。
『ポイントまで一キロ!周囲に敵影無し』
『隊長、チャフ地雷十個何処に撒くのさ?』
小隊員から、定時連絡が入る。
戦時中は道力もキチンと立花ちゃんじゃなくて隊長と呼んでくれる。
まぁ、各自戦闘モードに入りつつあると言った所か?
「各自、作戦は送った。3ОN3を五回やるだけの話だ。」
『うわっ、本当楽勝……』雄二からの声に苦笑しながらもポイントと呼ばれる空き地に到着する。
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