第2話
それは、今から三ヶ月程、前の話だった。
偶然、通りかかった(本当は、仲間が隠れてタバコを吸いたいと兵舎の裏に行こうとした)兵舎裏、女性の叫び声を聞き、駆けつけて見ると、一人のオペレーター科(以下オペ科)の少女を五〜六人の男達が襲おうとしているのに遭遇。
日頃の激務にイライラしていた事もあり、過剰に撃退してやったのだが、実はその内の一人が新しく配属になった司令官、
他にも、明らかに欠陥のある作戦を自慢気に語り実行しようとする田子司令官につい、イラッとした僕は、地形の不一致、敵の目的の不認知等々、散々言い負かしてしまい、それ以来、僕ら第六小隊を目の敵にする様になってしまった。
だって、馬鹿過ぎるんだよ、敵十機に対して、ダムまで誘き寄せてダムを決壊させて一網打尽にするって……。
普通にやれば数的優位を作りつつ、各個撃破出来るだろうに!?
わざわざダムを破壊するって、その方が被害額がデカ過ぎるだろ?
映画じゃあるまいし!!
「おっちゃんは仲間?」目の前の中年メカニックさんを値踏みをする様に見た僕に、少しムッとした顔のメカニックの渡部さんがつぶやく、
「俺は金じゃあ動かない」
「それじゃ最新鋭機の整備とか?」
「それは……考える」そんな事言うから二人でガハハと笑った。うん、大丈夫そうだな?少し安堵していると、
『六花ちゃん、どうするよ?あのバカ本気だぜ?』通信のシークレットチャンネルから、我が仲間、
「ウルサイな、今計算してる所」最終チェックをしながら敵の数、地形、味方を考えながら計算していく。
「おそらく、五と七はあれだから……」
俺はため息一つ、シークレットチャンネルに向かって仲間へ謝る。
「雄二、道力、悪いな、こりゃ三対十五だ」
『だろうな、この前も五の隊長謝りに来てたもんな?七は新任だろ?この前、命令聞かずに俺達の仲間してくれた安城さんの代わりだもんな』
雄二の、はんば呆れた声がする。
安城さんとは、前第七小隊の隊長だ。
『一人五機やればオケ?雄二はノロノロしてたら、取り分減らすよ』軽口を叩くのは第六小隊の紅一点こと、第六の
こう言う言葉の悪い所さえ無ければ、無茶苦茶可愛いんだけどな。長い銀髪の毛を後ろに縛り、化粧っ気が無いくせにまつ毛は長くて、目元バッチリだし、唇は柔らかそうにプルンとしてるし……良く見てるな?うるせぇ黙ってろ!!
天を仰ぎつつ、ニヤリと笑って俺は、
「大丈夫だ、作戦はある」
『知ってる〜!!』『お前は、そう言う奴だもんな』笑い声と共に頼もしい仲間の声が聞こえてくる。
『第五から第七小隊の皆さん、準備が出来次第発進お願いします』オペ科の子の優しいけど、はっきりした声が聞こえる。
『第五了解!!』『あっ!?だっ第七も了解だ……』何となく第七さん考え込んでいる気がする。無理しなきゃ良いけどな……。
「うっし、第六小隊隊長了解だ!!」
綾波二式のツインドライブエンジンを同期稼働させる。
甲高い音が響き、エンジンの出力が高まっていく。
二つのドライブエンジンの同期が重なった時、小さくパンッと音がすると後は音が小さく落ち着いていく。
僕は、このシークエンスが好きだ。
「第六小隊、出撃!!」『『
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