CUSTOM 銃身が焼き付くまで

まちゅ~@英雄属性

第1話

『だから大アジア産の部品は嫌なんだよ!!』隣からのオープン回線で聞き慣れた同僚の声を聞きながら、自分の機体の調整を行う。



「システムオンライン接続、CP設定更新完了、オートバランサーチェック完了」操縦桿のコンソールから入力していく。

「モニターオン、よしチェック完了、駆動系ユニットチェック……よし完了」


「アサルトライフルチェック完了、ハンドガンチェック完了、グレネード……」一つ一つの兵装も細かくチェックしなくてはいけない。


 何故なら、一つ一つが自分の命を守る事に直結していくのだ。


 そして、万全なチェックをした上でも、その命は己の腕と天の運にかかっていて、願掛けまじない神頼みが当たり前の世界。

 そんな、僕の操る動く棺桶の名は、川口重工業製第二世代二足歩行型兵器、


綾波二式あやなみ2しき


 全高十五メートル、重量七十トンの鉄の塊。

 標準装備にアサルトライフル、ハンドガン、グレネード等を装備している。日本における、現在の主力戦人である。


 戦人とは、二足機動兵器『コンバットウォーカー』 の事を言い、


 アメリディア合衆国にて作られた最初の二足機動兵器『ドゥナルド』その機動性、攻撃力、戦略性の高さから、初めて見たアメリディア初代大統領が歓喜し、その機動兵器に自らの名前を与え、世界征服を決めたと言われる位の衝撃を与えたと言われている。


 その短慮とも言える様な計画が世界勢力の構図が一気にアメリディア寄りの勢力範囲に多大に拡大させたのだ。


 それ以降、戦人は戦車や戦闘機に変わる戦場の顔として各国ともに研究開発に勤しむ事となる。


 だけど、そんな事は今はどうでも良い。


 大アジア帝国より、領地侵攻の知らせを受けて、僕ら第四戦人部隊が迎撃する事となった。


コンターク点火!!発進準備だ!!各員、点検!!点検後早い戦人より発進!!」部隊長からの怒声に近い命令が拡声器を使って戦人格納庫に響き渡る。


 今現在、第十三防衛基地には、二十一機の戦人が機動状態にある、つまり三機一小隊とするなら七小隊だ。


 情報によれば敵の数は約十五機。


 大アジアの主力戦人、剛力ごうりきよりも性能でまさる綾波二式なら問題は無いはずだ。


 とはいえ、あの司令官様が又、馬鹿な事を言い出さなければの話だけど……。


「第五小隊、第六小隊、第七小隊」部隊長が何か言い出した。


「この三小隊のみで殲滅せよとの事だ」

 僕は、自分の太ももに拳を叩きつける。

「馬鹿じゃないか!?楽に勝てる戦闘で、自軍をワザワザ窮地に叩き込む理由はなんだよ?」

 十五機の戦人相手に、九機の戦人で挑めと言うのだ。


 ちなみに、第六小隊の隊長は僕、六花勝利りっかしょうりホカホカの十九歳。

 

 士官学校卒業から一年の少尉様。

 

 綾波二式の開いたコクピットから漏れた僕の言葉に、三十代半ばのメカニックの渡部さんが、

「はぁ、あのキ◯ガイ司令官、余程お前を殺したいみたいだな?」

 その言葉に僕は歯ぎしりするけど、言い返す事も出来ない。


 全ては、僕のいや僕達のせいなのは、分かっているからだ。






































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