② ハクとシーヤ





「はあ、はあ、まったくなんて面倒なんだ。もう四階じゃないか。はぁ、テンプーっ!」


 おれだよー、ともういい加減聞き飽きた声の反響の中、奥の部屋でドカドカドカドカっとバタつく音が鳴る。


 こら分かりやすいねぇ、とハクは感心するばかりだ。


 そこで


「おー? 侵入者かぁー? くっくっくっく、番兵は何やってんだか。」


 その部屋の戸に近づくと同時にやたら高い声が覗き窓から漏れてくる。

 格子越しとは思えない距離に、ハクも柄を握ってにじり寄り、そして覗く。


「ふぉっ! なんだ、名を名乗れっ!」


 どうなってんだろなーと思ってそろりと見れば覗き窓いっぱいに顔があってなんか青白くてさっきなんか呟いてたのに無言でジロっと見るからお化けかなんかに見えてすっごく恐くてハクは泣きそうになる。


「おーう、たまげたのはコッチだっつの。

 んー? コイツ助けに来たんだっぺ? 開けてやっから妙なマネすんでねーぞ。」


 声の主はぎゅっとハマっていた顔を抜いてキィ、と開ける。


「これは手間が省けていい――――」

「動くんでねぇ。」


 しかしわずかに開けた隙間からハクが入った瞬間、医法用の小さなメスが喉で冷たく止められる。


「・・・ほう。チビのクセにやることは大きいねぇ。それも背伸びに過ぎないというのに。」


 それでも用心深さに救われたというべきか、主の意志に忠実な黒刀は小回りの良さを存分に活かしてその小柄な人影の首根にぴたりと落ち着いていた。


「くっくっく、おいらを斬ってコイツを助けられっか? かなりのケガだんぞ?

 ・・・まーいい、欲しいのは銭だ。置いてきゃ見逃してやっつぉ?」


 ハクの中の何かが、そこで聞こえない舌打ちを響かせる。


「ふん。ウチには医法兵もいるし見習いもやがてココへ来るっていうからねぇ。金ならあげても構わないが死んでしまえばそれでオシマイじゃないのか?」


 順手に握った刀の感触で脈打つ皮膚に触れているか確かめながら、そのまま握り手を胸に押し付ける。何かのはずみで刀身が首から離れてもこの体格差なら突き飛ばして間合いが確保できる上、そうなればリーチの都合からこちらの有利は確定する。


「おー。ドコ触ってんだ。」


 で、はい?となる。


 微かにくにゅんくにゅんする辺りにぐっと力を入れてみると、やっぱり少しくにゅんくにゅんする。


 そして医法師のやたらに高い声を考え合わせて、もしや、となる。


「・・・・ちっ、もういい。金はやる。・・・灯りをさっさと点けてくれないか。」


 格子の中ではもがもがもがと呻くベゼルが身をよじってベッドを這い出ていたものの、そちらに目をやる気にもならない。


「ふん、キザな男だーな。・・・はーぁ、やだやだ。こんでまた安給金でガマンかよ。」


 すると突き出した銭袋を受け取ろうともせず、小柄な医法師は奥へ戻って火を灯す。


「はーぁ、はこっちのセリフだ。キミがシーヤとかいう内通者だな? 

 まったく、女なら先にそう言ってほしいものだねぇ。それにまだ子どもじゃないか。まったく。」


 耳にはなんの問題のないベゼルもびっくり。


 目が見えていたならぴょこねんと耳を立てたサウギ族のシーヤがなんともめんこい顔をしていることにギヤップを感じたことだろう。


「子どもじゃねっつの。もう三十は越えてる。それにココじゃ女も子供もクソもねーよ。」


 だからだろうか、不思議なほど軽武装だった監視員たちがよぎる。


「ほう。それよりココの医法師はキミひとりか?」


 あぶあぶ言っているベゼルは蚊帳の外だ。


「おいらが主任であと二人いっけど今は外だっぺな。


 くっくっく、マトモなやつらはココを嫌がっからよ。

 技術も知識もあるってのにこの性別と体つきじゃドコも雇ってくれねーんだよ。命に関わる仕事だからか知らねーが信用ねーんだろ。名家の肩書きでもありゃ別だろーがな。」


 偉ぶってる連中の鼻を明かしてやろうという気持ちもあったが、認めてほしかった。


 それが発揮できる場所さえあれば見せつけてやる、そう思ったから情も覚えない組織に身を置いた。


 それがハクだった。


「ほう。だがこんな所じゃ救った命も苦痛を長引かせる拷問具のひとつに過ぎないんじゃないのかねぇ。


 ・・・ボクは『ファウナ革命戦線』護衛班班長のハクという者なのだが、どうだろうシーヤ、ウチに来ないか?」


 下心が丸見えの決まり文句。しかし今回そういう意図はない。


「ハん? ココが教皇の一存で独立した監視区域って知って言ってんのか? 


 くっくっく、おいらまで追いかけ回されちまうよ。それにおいらにゃ似合ってんでねーのか、こーゆートコがな。」


 認めてほしいのに、強がって拒んでクールでドライにカッコつけたらみんながどんどん離れていって、それでも強がりたいから「一人」を「孤独」と呼び換えて掲げてみても蓄えた金は何も潤してはくれなかった。


 稼いだ大金が自分の評価なのだと信じていたのに、それは砂や風とかわりなかった。


 そして虚しくなった。自分が「何か」の代替えであることが。


 でもだから知った。


 クールでドライな者なら一笑に付すような、「求められる」ことの無限の潤いを。無限のぬくもりを。


「かもしれないねぇ。だがウチのケガ人たちはココの連中とは勝手が違う。


 ウチの総長の下で動いて傷ついた者たちは救う価値がケタ外れにある。


 そしてそこには必ずキミへの「ありがとう」が待っている。


 ココでキミにそう告げる者があるか? 死なせてくれたらと逆恨みされるのがせいぜいの顛末じゃないのか?


 というわけで一緒に来るんだシーヤ。・・・ボクはキミを放ってはおけない。」


 口説き文句第二弾。


 這いつくばりながらにじり寄っていたベゼルも突如ラブロマンスの気配が漂い始めちゃったからベッドに戻ってタヌキ寝入り。


 早く来てくれ、ボロウ!の巻。


「くっくっくっく、あんさんネクラかと思ったけどどっちかって言やぁキザだな。

 くくく、おいらもあんさん気に入ったよ。ハクラだっけか? んでよ、これぁ・・・」


 ちっ、やっぱりこいつ生意気だな、と顔を背けるハクにするりと近づくなり脇腹の傷を押さえていた手布をひっぺがす。


「ほまあぁぁんっ! ・・・・・・こ、・・・固まった血がくっついてるんだぞこの傷口、なん、なんてことを・・・」


 するとさすがに大量の罪人たちをさばく医法師だけあって手際よく包帯を巻きつけ、ぽん、と一つ叩いてくくくと笑う。


「らあぁぁんっ!・・・くそ、ありがとう。しかし今でなくとも――――」

「コレ見えっかハクラ。血のシミの周りにきったねー色の体液が滲んでんだろー?

 化膿してたんだよ。こんな小汚ねー手布なんぞいつまでも巻いてっからだっつの。」


 そう言うとシーヤは指でつまんでそれをぽい、とやる。

 ただその顔には、童顔によく似合う柔和な笑みが湛えられていた。


「なるほど、さすがだな。ありがとうシーヤ。ふふふ、やはりキミがほしいねぇ。」


 こそばゆくなるやつ第三弾。


 そのため夢中でやっていたイビキのマネはとりあえず中断して耳に全神経を集中させるベゼルはなぜか照れ笑い。あは、アイツ結構ツンツンしてるけどよ、いい相手が見つかったじゃねぇか、みたいに。


「くっくっく。ああ、くれてやるよハクラ。ちゃんと抱きとめろよ? くくく。」


 ナニをバカなことを、とやるハクにも柔和なそれがある。


「・・・。」


 ただ、それをずーっと陰から見ていたボロウには欠片もなかった。


 そしていま出て行ったらジャマになるしなんかわざとらしいしな、とか思いながら歯噛みしていたボロウにはいつの間にかカビが生え始めている。


 湿度が高かったのだ。暗く、ジメジメしていたのだ。


「ぽぉぉぉっ! なんだっ? いたならいたと言えばいいじゃないかボロウ君っ!

 いや、いるいない以前に助けるとかそこのベッドに戻ってフテ寝している割りと気ぃ遣いの男がベゼルという者なのかの確認とか、いや、ボクが先にそうすべきだったのは分かるがホラ、あるだろ、こう・・・」


 いいよ別にさ、隠さなくったってさ、カワイイ顔してるもんねカノジョ、ったくどいつもこいつも色恋話でさ、へん、おれはいいよ、タチバミもいるしさ、みたいになる。

 心根はまっすぐなボロウだったが妬かないわけでもない。

 だから中の牢を蹴破って連れ出すベゼルは背負わず肩に担いでいく。


 そう。世に言う八つ当たりという現象だ。


「ん、ケガ人じゃなかったのか?・・・あいや、それよりキペ君はどうしたのだろう、地階に行く階段で別れたきりなのだが・・・シーヤ、そこ滑るぞ。」


 なんか文句あるかい?と睨むボロウを横目に、来る途中に滑ったところをシーヤに伝えてやるハク。

 そんなシャレたことをするからベゼルの体は締め付けられる。


「おれは会ってないな。だが迷っていなければニポたちの所だろう。おれたちとしては長居は無用なんだ、さっさとトンズラするだけさ。」


 ずーっと見て聞いていたのでシーヤが来ることになった経緯は理解している。そしてだからこそ、衰弱したベゼルを継続的に診てくれる医法師の同行はむしろ望ましかった。


 ただ、なんか悔しくてベゼルの体は押し潰される。


「なんだぁ? まだ仲間がいんのか? 大所帯でまぁーよ。

 ・・・しかしそんなに重要なんだな、コイツ。」


 まぁでもほらしゃべり方がアレだしさ、おれだったらこう、なんていうか癒される感じっていうのかな、そういう子の方がタイプだしさ、やっぱカワイイって言ってもコドモっぽいから色気はないよね、みたいに言い訳マシーンになるボロウ。


 だからベゼルの体は解き放たれる。


「彼の価値をボクは知らない。手伝いで来ただけだからねぇ。ふふ、でもまぁ掘り出し物もあったから収穫といえば収穫か。」


 掘り出し物ってなんだよハクラ、なら他になんて言えばいいんだ、などと小突きあって二人は階段を降りる。


 だのでそのまま小突き合ってド突き合って果ててしまえ、と死体みたいな顔するボロウ。


 物言わぬベゼルの体はまたしても危機に瀕している。


「・・・お、ようやく玄関だねぇ。いやぁ、もうホント来たくなかったからよかった。」


 そうしてそんなホンワカ救出劇も番兵のいないガツカフの出口で佳境を迎えた。


「よし、これでおさらばだな。・・・テンプっ! 回収してくれっ! 帰るぞっ!」


 そうボロウが呼びかけると手応えのない番兵を蹴散らしていたダイハンエイとカクシ号が地面を鳴らして近づいてくる。


「「ん? ウチの三下はどうし――――」」

「「んベゼルうぅぅぅぅーっ!」」


 そこでニポを遮りなぜかついてこないキペとなぜかついてきたシーヤを無視して米俵のように担がれたベゼルへカクシ号は手を伸ばす。


「・・・おー、あんさんら革命でも計画してんのけ? しかしなんだこのデカブツ・・・

 にしても近頃の『ファウナ』はすっかり過激派になったみてーだな。くわばらくわばら。」


 ダイハンエイを押しのけカクシ号はボロウもろともむんずと掴んで持ち上げる。

 そんな光景をシーヤとハクはのんびり見上げて感心する。


「言ってなかったねぇシーヤ。『ファウナ』はボクだけだ。


 あとは旧『今日会』の残党と分派した『ヲメデ党』という矮小勢力の連中だからねぇ。彼らの目的はボクも知らないが今は協力しているんだ。」


 ふーん、なんだかややこしーな、とシーヤは高価な葉筒と火待ち棒で煙を吸う。いやぁそうなんだよ、あ、ボクにもくれ、とハクも吸う。


 見た目には不釣合いな二人も妙に無責任なところが通じ合うのかもしれない。


「「よくやったねボロウ、んで肝心のウチの三下はどうしたんだいっ!」」


 覇気のない番兵たちを振り切るのは容易かったが揃ってなければ脱出できない。


「へ? なんだ、まだ戻ってないのかっ? おかしいな、地下はそんなに広かったのか?」


 ひとり乗りのカクシ号こくぴとにベゼルを運んだボロウが問いかける。


 収容数が多くても廊下は直線だったし、戦わねばならない兵士がいたとしてもとうに外へ出て〔ろぼ〕たちと交戦しているはず。

 キペが足止めされる、あるいは迷い込む理由など思いつかなかった。


「「ったく、地下だね? あたい行ってくるっ! テンプ、時間稼ぎ頼むよっ!」」


 ボロウたちに任せてもよかったのに頭より体が先に動き出していた。


「待てニポっ! ダイハンエイは君じゃなきゃ動かせないんだぞっ!」


 よっこらせ、と運ばれたベゼルに夢中のテンプはカクシ号の操作もおろそかになっている。強敵とは思えない相手でもその数と呼び寄せられるかもしれない兵団に備えてニポの離脱は避けたかった。


「「オカシラっ! コロナィのいりぐちからなんかきますっ! あ、タチバミたちですっ!」」


 からだ半分出ていたニポに望遠もにたを覗くパシェが声を掛ける。


「おや、じゃあウチの総長も一緒かねぇ。」


 いろいろな安心が芽生えたからだろう、シーヤの手を引きダイハンエイをよじ登っていたハクがニポに尋ねる。


「けけけ、人数が増えてくれんのはコッチにとったって好都合さ。

 ・・・ってか誰だい、そいつ。」


 ダジュボイたちが来てくれれば『ヲメデ党』、旧『今日会』だけに留まらず『フロラ』のルマと『ファウナ』のシクロロンもこの救出劇の当事者に仕立て上げられる。

 責任の分散は望むところだ。


「おーなんだって礼儀がなってねぇな。おいらはシーヤでコイツに連れ去られてきたトコだ。しっかしハクラ、ここ狭ぇーな。」


 貴重ながらタダで手に入った医法師を土産にする予定もあって、こくぴとにシーヤを押し込むとハクは「ガマンしろ」とはっちを閉じた。


「なんだってんだいさっきの小娘は? ネクラ、あんたナンパなんかしてるヒマがあんなら外に出て闘ってといてくんな。」


 あぁいやそういうつもりではないんだが、などと伝通管でふたり話しているとやはり手薄の番兵・監視員ラインを卒なく突破してイカタコ馬と橋の手前で拾い直したカニエビ馬が走ってくる。

 彼らとしても〔ろぼ〕の援護を受けなければ目的には達せないと踏んだようだ。


 ただ


「おーい元気かキペニポーっ・・・うお、死に切れなかったかぁっ!」

「ニポさんパシェちゃーんっ・・・うお、死に切れなかったのねっ!」

「無事かテンプとボロウーっ・・・うお、死に切れなかったんだな!」


 とりあえず死んだはずのハクに驚く皆の衆。


「「ダジュボイ様ぁー、ベゼルは救出できましたぁー。」」


 その辺は構わずテンプはベゼル奪還を高らかに謳う。

 フラウォルトのコロナィに来る途中、ベゼルが拷問を受けていることはテンプに話していたものの何を吐かせようとしているかについてはボロウたちも見当がつかなかった。

 今もし味方の陣営にその理由を知る者があるとすれば、死んでしまったモクかダジュボイに限られてくる、ということでテンプたちも心待ちにしていたところだ。


「でかしたぞテンプっ! オマエたちはここで番兵たちを相手にしててくれっ! オレたちは地下へ行くっ!」


 ここまでタイミングを計れたわけではないダジュボイも先に〔ろぼ〕が到着することは予想できている。あとで手を貸してもらう予定が繰り上がった分、増強部隊や兵団出動の回避ができた以上、目的を果たすにはこの流れはうってつけだった。


「目が開かぬだけ確証はないがユクジモの翁、現段階では思惑通りのようだな。」


 ここへ着くまでに一度リドミコの人格と入れ替わった第八人種が馬から下ろされながらそう呼びかける。


「・・・。」


 人格の転換は仕方ないか、と思えるようになったアヒオでも気に掛かるのは、眼が見えないのにシオンの丘でダジュボイを「ユクジモ」の翁、と呼んでいたことと、第八人種の人格所有時間の長さだ。


 風の神殿以降、日毎に「リドミコ」の割合が小さくなっていたことが不安を募らせてしまうのだろう。


「くっくっく、どこへ連れてくるのかと思えば。

 しかし残念だなダジュボイ。この俺を驚かせ何かを説こうとでもしていたのだろうが所詮は奇策。手の平で踊るほどこの俺は無知ではない。くっくっく・・あぁ。」


 ダジュボイの前に乗せられたルマがまだ引かないタンコブをゴツンとやられてため息をつく。あるいは憂いをこぼしたのかもしれないがとにかく、気絶はしなくなったらしい。


「地下に用事だぁー? よしきたっ! ついてきな、あたいもそっちに用があるんだよっ!」


 それらに構わず、決まり!とでも言うようにニポはすたたたんとガツカフの中へと走り出す。


「待ってニポさんっ!・・・ハク、生きてたのね。」


 もうガツカフ内部に用がないハクとボロウは外へ出て監視員たちの相手をしている。


「ふふ、生きてましたよ。でもアナタもダジュボイ老と中へ行くのでしょう?

 なら、今はこうしてその背中を護るのがボクの仕事なんでねぇ。さっさと済ませて来てください、総長サン。」


 そこでウルっとしているシクロロンの背を押しリドミコを負うアヒオと視線が交わる。


「・・・。」

「・・・。」


 その瞬間の中で、アゴを引くハクと頬を緩めるアヒオのやり取りは交わされたようだ。

 仲直り、とはゆかずともシクロロンへの愛着が細く二人の役割を繋いだのかもしれない。


「おーそれよりカミカミ前歯、キペはどうしたんだっ?・・・ったく話聞けよ。

 ふぅ。さてと、あんたも行くんだろ将軍じーちゃん?」


 馬から下りてニポを追うアヒオたちを守るよう、テンプはカクシ号を操り番兵たちの相手をしている。現段階ならばダイハンエイなしでもこの戦力に不足はない。


「無論だ。それとタチバミ、ある程度カタが付いたらオマエも来い。

 なに、ボロウたちが相手にしている監視員はただの監視役に過ぎん。装備している番兵などテンプの〔ろぼ〕で足りる。急ぐぞっ!」


 そしてほらオマエもだ、とやられれば素直に応じるルマを連れ、一行はガツカフへと駆け込んでいった。


「・・・で。・・・おいらは何すりゃいんだっぺな、嬢ちゃん。」


 おいてけぼりのシーヤが内部照明の消え始めたこくぴとでぼそりとボヤく。


「わかるもんかっ!・・・とりあえずそうじだっ! ちょっとニオってきたからなっ!」


 というわけでじきに動かなくなるダイハンエイ内部にて掃除が開始される。

 シーヤとパシェにはやることがなかったのだ。

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