・
(尾畑壮)
僕の母はよく笑い、よく泣く人だった。
金曜日に作るカレー以外はいつも美味しい料理を作ってくれた。
僕は金曜日のカレーを作るとき、母が何かをカレーに入れるのを見てしまった。何かと尋ねると、
「壮はね心臓の病気で長くは生きられないの。だからね、そのお薬を入れたのよ」
と、母は泣きながら僕に嘘をついた。
その日のカレーを食べた後、僕の体は痙攣し口からは沢山の泡が出た。
朦朧とする意識の中、母は泣き、未由のお母さんは叫んでいた。
おかしいと思っていた。
母に「未由ちゃんと結婚するんだ」と、伝えたときに目の色を変えて
「それはできないのよ」
と言われたこと。
未由と再開するまで、記憶がすっぽり抜け落ちてしまったこと。
母さんではない人たちに育てられていたこと。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます